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Erika Side

あの日見たけいちゃんの顔が、今まで見たけいちゃんのどの表情よりも悲しそうだった。
別れると決めた以上、私はちゃんと進もうと思ったし、よりを戻す選択は別れた時点ではなかったのは確かだった。

けど、時間が経ってしまえば迷いが生まれて。
でもそんな時にジェッたんがいたから、自分の選択を貫くことが出来たんだと思う。

行ってしまったジェッたんの背中を見て、無意識に溢れ出ていた涙をとっさに拭いた。

けいちゃんになぜよりを戻すを考えたのかを問いかけた時、けいちゃんは「悲しいかったから」と口にした。

エ「悲しかった？」

慧「うん」

エ「・・・、」

慧「最初はエリカを傷つけたし、俺に復縁を求める資格ないって思ってたけど、俺はエリカがいないと何も感じないし、楽しくないから」

エ「・・・。」

慧「今日も俺が居なくても楽しそうに笑うエリカを見てめっちゃショックだったし」
エ「楽しそうに見えた？」

慧「え？」

エ「・・・いや、そうなんだけど」

確かに周りに人がいっぱい居て楽しかったかもしれないけど。

エ「エリだってそれなりに悲しかったよ、今日もけいちゃんのこと心配した。最初の方は眠れなかったりしたし、楽しくなんかなかった」

慧「うん、」

エ「けど、ジェッたんがエリのこと見てたし・・・涼ちゃんもずっと家に居てくれたから」

慧「・・・」

エ「悲しかったのは、けいちゃんだけじゃないよ」

慧「エリ・・・。」

でも、よりを戻すことは考えさせて欲しい。

慧「・・・。」

けいちゃんにそう言って私は背中を向けた。
そこで「はい」と頷く勇気がなかった。

みんなのところに戻って涼ちゃんを引っ張り出して帰って、家の用事もなかったけど実家に直行した。

実家の安心できる空間で冷静になりたかった。
久しぶりに帰ってきた涼ちゃんはお母さんに一通り怒られて居たけど、彼はまったく反省なんかしてなくてマイペースな涼ちゃんは「はいはい」と頷いた次の瞬間に部屋に逃げた。

「ごめんね、エリカ。涼が何日もそっち行っちゃって」

エ「ううん、どーせ夏休みで暇だし」

「暇だったの？」

お母さんは不思議そうな顔して「てっきり慧悟くんにべったりなのかと」と口にした。

エ「うん」

お母さんは私の表情を察してそれ以上は聞かなかった。