StLtH22 (ページ34)

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つまんなそうな顔。
安井くんとハルさんの近くにいて、ただ海を眺めるだけで。
せっかく海に来たのに・・・。

あまりにもずっと見てるから、視線を感じたのかけいちゃんがこっちに顔を向けた。

慧「っ、」
エ「・・・、」

バチリ、と合わさってしまった視線。
悲しそうに揺れたけいちゃんの目。
逸らされた顔。

ジェ「エリカー！」

モヤモヤする気持ちが消えないまま、私はジェッたんの方に歩き出した。
一回気になってしまったらずっと気になってしまって、どこか落ち着かなかった。
夜のバーベキューもずっとジェッたんといたし、けいちゃんの姿は見当たらなかった。

翌日、涼ちゃん含む高校生組が来るとタルーレのお兄さんたちの興味は猪狩くんに向かって彼を揶揄うのがすごく楽しそうだ。

涼「エリちゃん俺今日泊まっていきたい！」

エ「だめだよ、ちゃんと日帰りで帰らないと」

涼「エリちゃんばっかずるいよこんな楽しいの」

エ「もー」

不貞腐れた涼ちゃんの頭を撫でると彼は「もういい、けーごくんのとこ行くもん」と私にベーっと舌を向けた。

エ「・・・。」

私と彼の関係が変わっても、涼ちゃんにとっては自分のお兄ちゃん同然だからすごく慕ってるし、仲良さそうに笑いあってるのを見て私も笑みが溢れた。

慧「エリカ」

エ「・・・え？」

慧「こっちきて」

あの後といえば、Aちゃんが急にどっかに行ってしまい気づいたらAちゃんの代わりに岩橋くんが居た。どうしたんだろう、と思ったけどエリが考えつく限りではAちゃんは神宮寺くんのところだということだけだった。

けいちゃんに捕まったのは、その後だった。

サ「Aちゃん、大丈夫かな」

エ「だといいね」

海で遊んできたあとみんなでご飯を食べる流れになって、私は着替えを済ませてからサクラと一緒にみんながいる場所に向かおうとした、その時だ。

慧「エリカ」

エ「どうしたの？」

慧「・・・、」

困った顔をする私と切羽詰まった複雑な表情をするけいちゃん。
その表情を見て私はけいちゃんがこれから言うことを自分なりに頭で巡らせていた。

慧「ごめん」

エ「え？」

慧「まずは、本当にごめん」

夕方と夜の境目。
海が反射する鮮やかなオレンジがだんだんと黒に飲まれて行く。
夜風が吹けば、辺りは一段と涼しくなった。