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ーBack to 海の日ー

Erika Side

慧「俺ら、戻れないかな？」

エ「・・・けいちゃん」

今まで見た中で一番真面目な視線。
縋るような泣きそうな表情。

こんなの初めてだった。
海の潮風がけいちゃんの髪を揺らす。

私は、けいちゃんと別れてから今までのことをゆっくり思い出した。

けいちゃんと別れてから確かに毎日のようにジェッたんと会ってた。
ジェッたんに好きって言われたあとも、ジェッたんを好きになってみようと思った時も、ずっと一緒にいた。

ジェ「エリカのこと、好きなんだけど」

エ「え？」

なに言ってるの？と思った。
だけど、ジェッたんがエリに向ける視線があまりにも真剣でなにも言えなくなって。

ジェ「・・・マジだよ」

「・・・」

そう言われたら、どう返すことも出来なかった。

エ「エリ、びっくりしてる」

ジェ「うん」

エ「ずっとっていつから？」

ジェ「小学校」

エ「え！？」

ジェ「・・・まぁ」

だからなかなか言えなかったんだよってジェッたんは顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまって。私はどうすることも、なにも言えなくて。

ジェッたんは「でも、別に付き合いたいとかじゃない」と言うと「安心して、エリ」と笑って別に困らせるために言ったわけじゃないと口にした。

エ「ただいまー」

涼「おかえり、遅かったね」

居候しにきてる涼ちゃんが私を出迎えると不思議そうに顔を覗き込んできて「どうかしたの？」と首を傾げる。なにがあったかなんて涼ちゃんに言えるわけがない。そう思って私は可笑しくない程度に誤魔化してお風呂に逃げた。

嬉しかったのかな、わたし。
うん・・・きっと嬉しかった。

けど、迷ってしまうのは、きっとまだけいちゃんのことが大好きだからで。
こんなの、わからない。

追いかける恋愛に夢中だったわたしは、こんな気持ち、わからないよ。

割と悩んだ気がする。
どうしようとか、どういう顔でジェッたんと会えばいいかわからなかった。

ジェ「ヤッホー、エリカ」

翌日、明るいうちにタルーレに向かうとジェッたんは普通にしてて。
こっちおいでーとわたしに手招きをした。

エ「ジェッたん」

ジェ「うん？」

眉を下げる私を見た彼は「・・・気にしてるの？」と小さく問いかけてきた。
私が頷くのを見て大きく笑うと彼は私から視線を外して「樹～！」とメニューを求めた。