StLtH22 (ページ3)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:37,769 hit

944 ページ3

神「・・・、」

じんは黙って私をじーっと見つめた。
じーっと見つめて、「わかんね」って呟いた。

「わかんない」

神「俺もわかんない」

「・・・うん」

神「わかんねーけど、」

「うん、」

神「すげー嬉しい」

私の腰を強く抱いて持ち上げると私の胸に顔を埋めて、「わかんねーけど、お前がそう思ってるのはなんか嬉しい」ってじんは口にした。

「・・・私は、怖い」

神「ん？」

「怖い。こんな自分が、怖い」

神「・・・俺のせいだね」

「そうだよ、じんのせい」

彼はふわっと笑って顔をあげてキスを落とした。
ごめんね、って。

「・・・許、さない。かも。」

神「ふふ。ん？」

「許した方がいい？」

神「んー。許したらどうなるの？許さなかったら？」

「・・・わかんない。きっと変わんないよ」

神「そうなの？」

「ねえ、じん。」

今度は私が泣きそうになったのかもしれない。

「一緒にいると、苦しい。」

神「・・・、」

「じんのこと見てると、たまにすごく胸が苦しくて痛くて泣きそうになる」

神「それは俺と居ない方がいいってこと？」

彼は選択肢を私に渡した。
いつもそう。自分の意思は後回し。

じんはいつだって、私が選ぶものを嫌がらずに受け入れる。

じんは私が居なくてもいいの？

「一緒にいると苦しい。でも、居ないともっと苦しいし辛いの。」

神「・・・、」

「じん、あのね？」

私は彼の頬に手を当てた。

私は、確かめようとした。

今の自分たちを確かめようとした。

神「・・・ごめん、逆上せそう」

「、、、」

親友から恋人になってしまった以上、別れてしまったらそこで終わりとなってしまう。

じんは、もう「親友」には戻れないと言ったし私も薄々分かってた。

となると、だ。

私を置いて浴室を出て行ってしまったじんの背中を追いかけた。

腰にタオルを巻いただけのその背中を背後から抱きしめた。

「・・・」

神「っ、」

自分の身体から、水滴が落ちていく。

「あのね。京都に行った時にお願いごとしたでしょ？」

神「・・・、」

「あの時、私ね。『私の大切な人がこれからもずっと幸せでありますように』ってお願いした。」

神「、、、」

「じんが、幸せならいい。」

それだけ言うと私は腕を解こうとしたが、彼は私の腕を掴んだ。