943 ページ2
もわんとした生暖かい空気に、爽やかな香り。
知ってる肌触りと知ってる温度に包まれて、あまりの心地よさに微睡んでしまう。
溢れかえりそうな泡の中に深く身を沈めると、口まで浸かった瞬間に彼が「寝んなよ」と少しだけ私を引き上げた。
神「・・・眠い？」
「ん」
神「上がる？」
「もうちょっと」
神「そ」
お腹に回した腕をそのままに彼は片手で髪掻き上げる。
彼のもみあげから落ちる水滴がゆっくりとお湯の中に落ちるのを見つめ、彼の鎖骨に頭を預けて力を抜いた。
神「・・・」
「・・・、」
浴槽の壁に手を当てる彼のその腕に傷痕がある。きっとあの事故のモノだ。
「・・・っ、」
彼が人を守った証。
そのはずなのに、あの時居なくなるのではないかと死ぬほど怖かったのを思い出して苦しくなった。
そっと顔を上げて、その頬に手を当てて、２つ並んでるホクロを見つめて、「良かった」って口にした。
神「なに？」
「・・・生きてて、良かった」
そういうとやっと彼と目があって、澄んだその瞳が私を見つめる。
「じんが死んだら、私も死んじゃうじゃないかと思った」
神「・・・、」
「いや、死んじゃう」
神「・・・ッ」
「ぁ、」
生きてる。
少し苛立ちを含んだ表情で唇をぶつけてくる彼が滑り込ませてきた舌の隙間から呼吸が伝わる。
指が、唇が、舌が、教えてくれる。
生きてる、って教えてくれる。
最後に強く吸い付いてきた彼が唇を離すと彼は怒ったように顔を顰めた。
「・・・っ、ぁ、」
神「簡単に言うなよ、」
「んっ、」
彼はじっと私を見て「俺さ・・・お前のこと憎い、」って零した。
凄く、苦しそうに。
私のことを苦しそうに見つめて、彼は瞳を揺らす。
神「・・・、」
「じん、」
私は彼の首に腕を回してその瞳を真っ直ぐ射抜いた。
「・・・わたしもだよ」
神「・・・」
「憎いよ。私のことこんな風にしたじんが憎い。じんが居ないと上手に生きることすら出来ない」
神「バカ」
「身体も心もずっとじんのこと覚えてるの。ここで抱いてくれたあの夜、すごくじんのこと憎いって思った。自分に触るじんが懐かしくて泣きそうになった。今日だってそう。・・・わたし、待ってたみたいに泣いちゃった。わかんない。・・・わかんない。」
神「なにが？」
「理由が分かんないの。なんで私のことこんなにしたの？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1770人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：愛美
| 作成日時：2020年4月1日 2時
