StLtH20 (ページ8)

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Erika Side

時間が経つにつれ、お互いに飽きてくるのかマンネリ気味だったのは否定しない。
長い間片思いしていたのに、付き合って一年で彼に対する思いが変わってしまったのがなんだか悲しかった。
よく言えば安定したということなのだけど。

「けいちゃん？」

慧「ん～待って課題してる」

「・・・」

積もっていく大学の課題や、就活準備など、けいちゃんは私よりも徹底しているからしょうがないなって思うけど。

「それエリの家でやらなくても良くない？」

慧「・・・。」

けいちゃんはペンを止めて、「エリに会いに来てるんだけど？」と悪気なくそう呟く。

「会いにきてるのに自分のことしてばっかじゃん」

きっと、寂しかったんだけど。
素直になれなかった。

慧「・・・会えてるだけマシじゃん」

「は？」

慧「せっかく時間見つけて会ってるだけいいじゃん」

エリなんか忙しかったら会わなくても大丈夫だからって言うくせに。

「それは、、、」

けいちゃんが忙しそうだから。

慧「俺が居ない方がいいのね」

わかったわかった、帰るわ。と顔を歪めるとノートパソコンを仕舞って「じゃーね、エリ」って私の前に立つ。

何か言いたげに私を見下ろすけいちゃん。

いつもなら「帰っちゃやだ」って言う場面なんだけど、今回はその言葉さえも出てこなかった。

慧「・・・、」

「・・・。」

いつものように引き留めて欲しいんだろうなって表情で分かるけど、どうしても素直になれない。

けいちゃん、構って。

そう一言言えば、いいんだけど。

「バイバイ」

慧「帰ってもいいの？」

「・・・だめ」

慧「はぁ、どっちなの」

「けいちゃん、、、」

全く世話のかかる女だな、って私を抱き寄せて荷物を下ろすと「そんな顔すんなって」て眉を下げてキスをしてくる。

「けいちゃん、」

腕を回して、シャツをギュッと握る。

慧「素直にしろよ」

「・・・っ、」

慧「寂しいなら素直に言え」

「・・・だって」

慧「なに？」

「なんか忙しそうだし」

慧「忙しくても会ってるんだから良くない？」

違う。

そういうことじゃない。

会う回数じゃなくて、会って一緒に居たいんだよ。