StLtH20 (ページ25)

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萩「Aは？」

「え？」

会えたの？と目を向けられて、すぐに何のことか分かって「ううん」と首を振る。

「・・・会えないよね、」

萩「そっか」

「うん」

二人だけのリビングに流れる空気がどんどん重たくなって、テレビの中の芸人さんだけが空気を読まずに大声で騒ぐ。

すると萩ちゃんはソファーに身を預けて「俺ら、去年同じようなタイミングで付き合ったよね」と思い出話に走る。

萩「そして、また同じようなタイミングで別れた(笑)」

「そうだね」

そうだ、そういえばそうだった。

萩「あのさ、あの時はAが一番俺のこと応援してくれたよね」

「え？」

萩「うん。Aが俺に言ってくれたから」

ー「後悔する前に行って」って

「・・・うわ、ごめん」

萩「なんで？(笑)」

「なんかすごく偉そうに言ったよね、ごめん」

萩「いいよ、それで行かなかったら付き合えてないかもしれないから(笑)」

「・・・うん」

萩「それに今回もAに『行け』って言われたな」

「・・・、」

「ありがと、」と素直に言われて恥ずかしくなって「素直な萩ちゃんなんか慣れないんだけど(笑)」と茶化すと彼は笑って照れくさそうにした。

そしてひとしきり笑って、落ち着いた後「なんか・・・あれから笑ってても本当は寂しくなっちゃう時があるんだよな」と言ったので「わかるよ」と口にすると彼は目を細めた。

「そんな顔しないでよ、悲しいじゃん」

萩「Aもそんな顔しないでよ」

二人で何かを耐えるように顔を歪ませたら、本当に泣きたくなって。

「もう、萩ちゃんのせいだからっ」

そう言って背中を向けると彼はまた弱々しく笑みを零した。

その後は少しだけ萩ちゃんの話を聞いてあげて、彼が話したいだけ聞いてあげようと思ってたら思った以上に同じような感情が自分にもあって私の方が泣きたくなって、話してる途中で帰ってきたさなさんが「空気おっも！何！？」とまるでおかしなものを見たようなリアクションをした。

佑「何どうしたの！？」

萩「傷を舐めあってた」

佑「はぁ？えっ！？」

よくわかんないんだけど・・・、とりあえず飯食う？と訊かれて「連れてってくれるんですか？」と聞いたら「いや、そんな顔してるんだもん」と口をとがらす。

佑「お前らには気分転換が必要そうだね」

さなさんは私たちを見て笑うと「ほら行くよ！」とシャツの腕の部分を捲った。