StLtH20 (ページ13)

今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:46,493 hit

857 ページ13

涼「ほんとに？」

エ「うん」

頷いて、涼ちゃんに「近いうちに家に帰るね」って言えば「うん、帰ってこなくても俺がエリちゃん家に居候しに行こうと思ってたんだけど」って照れたような顔を向けてくるからそんな弟が可愛くて「いいよ」って頭を撫でた。

こんな可愛い弟に、言えるわけないよ。

涼に心配なんてさせたくない。

涼ちゃんに「大丈夫だから」と告げて彼を家に帰して、ジェッたんとタルーレに入ってすぐにバーに降りるときょもちゃんが「よっ」とカウンターから手を挙げた。

タルーレーのバーに緩く流れるきょもちゃん好みの音楽を耳にして、少しため息が出た。

エ「きょもちゃん、今日ミホさん来るかな？」

今日は金曜日だし何もなければ来るはずだけど、と返事したきょもちゃんは「どうしたの？」と私の表情を見て問いかけてきた。

エ「ミホさんに聞いて欲しいことがあって」

京「ふーん・・・」

エ「少し借りてもいい？」

きょもちゃんは私の顔をじっと見た後にジェッたんと目を合わせると「俺も久しぶりに会うから早めに済ましてよね」と言うと「電話してあげる！」って可愛くスマホを持ち上げた。

エ「ありがとう、きょもちゃん」

安堵のため息を零して、いつものようにカウンター席に座ると「今日は何飲む？」とジェッたんが問いかけてくる。

エ「・・・うーん、お酒は後でいいかな」

ジ「そ？」

じゃあ、俺も後でいいや。と言ってジェッたんは立ち上がると勝手に冷蔵庫を漁って「何もないじゃん！」と笑うと、「ジューーーリーーー！」と声を上げながら上へ駆け上がっていった。

「・・・。」

私、何で泣かないんだろう。
本当は、めちゃくちゃ胸が痛いのに。

前だったら、もっと可愛く泣いてけいちゃんのお迎えを待ってたのかな。

今は、ひたすら何も求めてなかった。
もう、けいちゃんと会って話す気もないし。

傷ついたことを徐ろに曝け出すつもりもない。

京「・・・エリカ？」

「ん？」

京「大丈夫？」

「え、うん」

自分がどうしたいのすら、わからない。

あー・・・。

本当に冷めてしまったのだろうか。