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Alan Side

大した事故ではなく、運良く神宮寺は擦り傷で済んだけどAは死ぬほど心配して、あの瞬間神宮寺の声を聞くまで死ぬほど怖かっただろうな。

その証拠が、この泣き腫らした瞼だ。
冷蔵庫にはタッパーに詰まれた料理。
神宮寺のためかな。

ダイニングで眠る彼女が心配でどうしようか考えてると、Aが寝る体勢を変えて腕の下から紙が見えた。

ーはやく元気になってください。

たった一文だけ、そう綴られていて。
俺は静かに紙を置くと、足元にあるくしゃくしゃに丸まった紙を見つけた。

顕「・・・？」

気づいて手に取ると、それはどうやらAが一回書いてやっぱり辞めようとしたものだと気付き、そっと彼女の近くに置こうと思ったけど紙のインクが滲んでるように見えて思わず凝視した。

悪いと思いつつ、紙を広げた。
紙いっぱいの文字。そして、紙に落ちた数滴の涙がインクを滲ませている原因だ。

顕「・・・っ、」

開くべきではなかったと思う。
だけど、これが彼女の本当の気持ちだと思うと胸が痛かった。

ーじん、大丈夫ですか？じんは優しいので、すぐ「大丈夫」と口にするけど、大丈夫じゃないなら言ってください。玄樹とか。顕嵐とかに。

本当にごめんなさい。あなたが辛い時に近くに行けないことが死ぬほど悔しくて苦しいです。私が一番辛い時に側にいてくれたのはじんなので、自分が同じことをしてあげられないことが辛いです。顕嵐から軽度の怪我で済んだことを聞いた時、吃驚するくらい安心しました。よかった。じんに、何もなくて、よかった。事故のことを聞いた時、自分のしたことを後悔しました。もうちょっと、あなたの気持ちに寄り添いたかったな、なんて今言っても無駄だろうから。せめて、私ができる精一杯のことをさせてください。迷惑だったら、捨てても大丈夫です。いっぱいありがとう。それと、ごめんね。

そう綴られたその一番下。

『元気になったら、会ってくれますか？』

涙でインクが滲んでしまったその一文。
きっとそれがすべてな気がしてきた。

顕「なにやってんだよ、マジで」

あぁ、見なきゃ良かった。
俺までもどかしい気持ちになんじゃん。

顕「本当、バカだな」

眠るAの眉間にはずっと皺が寄っていて。
きっと寝てても苦しいのかなって思った。