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家に帰ってくると、玄関には皆が立っていて私を心配そうに見つめた。その視線に耐えられなくて、「ごめんなさい」と口にするとさなさんが「謝んないで」と返す。
謙「A、ご飯食べよっか」
「・・・っ」
首を振り、大丈夫だというと謙さんが困った顔をした。
顕「あとは俺が説明しとくから、Aは部屋行きな」
顕嵐がそういうと、「じゃあ、そうしてあげよ」とモロ先輩が優しく笑って私は頭を下げて部屋に戻った。
「・・・はぁ。」
無事で、良かった。
扉に背を預け、ずるずると座り込む。
手のひらを額に当てて、止まらない涙と終わらない後悔をただ流していた。
なんて酷いことをしてるんだろう。
私が一番辛い時に一緒にいてくれたのは彼なのに。
なんで、私・・・じんのそばにいないの。
貰ったネックレスが見えて、部屋の薄暗い明かりにあたり輝きを増したそれをただ見つめていた。
こんなんじゃ、
きっと、
いつまでも幸せになれない。
時間が経ち、夜もいい時間になって私はあることを思いつき立ち上がった。
私にできる、精一杯のこと。
彼にしてあげれる、精一杯のこと。
スマホなんか、もう見れなかった。
それぐらい、必死だった。
じんが、居なくならければいいと。
頭にはそれしかなかった。
閉店寸前のスーパーに飛び込み、彼が好きだと言ったメニューを思い出しながらそれらをカゴに入れて素早くスーパーを出た。
みんなが眠ってしまったその時間帯、なるべく音を立てないように料理を始める。
これくらいしか出来ない。
そんな自分が嫌いで憎い。
なんでこんなに不器用なんだろう。
涙がまた溢れそうになって、ただ堪えた。
彼を想って料理をするのは、久しぶりだった。
それらが終わると私は紙を引っ張り出し、ペンを握る。
会えないけど、これくらいいいよね?
せめて「ごめんね」と「ありがとう」だけ。
そう思ったけど、ペンは止まらなかった。
言いたいことが、
伝えたい思いが、多すぎた。
私たちは
一緒に、居すぎたのだ。
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作者名:愛美 | 作成日時:2019年3月10日 20時