PAST Vー4 ページ20
目を覚ました瞬間、白い天井が見えて自分がどこにいるのか咄嗟に悟り見開き飛び起きようとしたけどひどい痛みに襲われてベットから動けなくなった。
窓の外は、薄明るい。
・・・明け方、かな。
ア「A!?」
「・・っ、あ、」
口を動かそうとした私を見てアイカさんが慌てたように起き上がって、「大丈夫?気分はどう?」と上から覗き込んできた。
「ばれえ、は?」
アイカさんは私が小さく零したそれに眉を下げた。
ア「・・・。」
黙り込んだアイカさんは「朝が来たら、みんなが来るからね」と目に涙を浮かべた。
「バレエ、は?」
ア「A、」
私は、それしか頭に無かった。
「だから私はあれほどバレエを辞めろと言ったんだ!」と声を上げたお父さんに「落ち着いてください」とお兄ちゃんが後ろから腕を掴んだ。
「A!」
お母さんがベッドに横にやってきて、泣きそうな顔で「痛くない?大丈夫?」と問いかけてきた。
よく、分からなかった。
感覚がない。
アイカさんが説明を始めて、お父さんが深くため息を吐いた。
ア「頭と膝を強く打ったので、今は動かせない状態ですが自分で歩けるようになるまでに一ヶ月のリハビリが必要になります」
「・・・、」
ア「後頭部を打たなかっただけ運が良かったと思ってください。脳には異常がありませんでした。」
「はぁ、良かった」
Aちゃん、大丈夫よ。とお母さんが手を握ってくれる。
「バレエ、は?」
「A、何を言ってるんだ」
バレエはもう辞めなさい!とお父さんが怒ったように声を上げた。
「アイカさん、」
縋るように視線を向けると、アイカさんは首を振って「その足じゃバレエはもう出来ない」とはっきり口にして「バレエは諦めるしかないの」と泣きそうな声で言った。
「ごめんね。」
私の代わりに、お母さんが泣いていた。
よく、分からなかった。
お兄ちゃんは心配そうに私を見つめて、「A」と私の頭を撫でた。
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作者名:愛美 | 作成日時:2019年3月10日 20時