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PAST IVー１０ページ11

稽古を終わらせ家に帰ると、アメリカから帰国してきた両親が居てすぐにお母さんが「A～！おかえりなさい！！」と玄関にやってきて「久しぶりね」と私を抱きしめて微笑んだ。

「お母さん、」

空港に迎えに行けなくてごめんなさい、というと「いいのよ。学校だったんだから」と口にして「また可愛くなったわね」と頭を撫でられて嬉しくて笑みが零れた。

「お父さんは？」と訊くと、お母さんは「ほら」と振り向きその視線を辿るとリビングから私とお母さんを見つめるお父さんが居て「おかえりなさい、お父さん」と口にすれば「ああ、」と微笑んで「元気だったか？」とか「困ったことはなかったか？」など心配そうに訊くからお母さんが笑って「早く着替えてリビングにいらっしゃい」と私を部屋に入るように促した。

部屋に入る前に、お兄ちゃんを探したらアイカさんの姿が見えて「あ、アイカさん」と零すと「A」と穏やかに微笑んだ。

「なんで？」と思っているとお兄ちゃんが横から出てきてなんだか真剣な顔をしているから、ますます疑問で。
アイカさんもなんだか緊張しているように見えたけど、何か分からなくてとりあえず「着替えてきますー・・・」とそっと姿を消した。

着替えてからリビングに戻るとなぜか空気がピーンと張っていて驚く。
「これ美味しそうね～」とアイカさんが持ってきたお菓子を見てニコニコ笑うお母さん以外は真面目な顔をして座っているからそっとお母さんの隣に座ると「じゃあ、始めますか？」と楽しそうに笑った。

「始める・・・？」

「お兄ちゃんから伝えたいことがあるそうです」

お母さんは楽しそうに笑いそういうとお父さんが「母さん、静かにしなさい」と口を開いた。

「はーい」

「・・・。」

え？と思いながら張り詰めた空間でただ正座して背筋を伸ばすしかない。

「帰ってきて早々僕たちのためにお時間を作ってくださってありがとうございます」

「なによ他人みたいに、別にいいのよ～？」

「母さん」

「・・・」

お兄ちゃんは空気を読まないお母さんを見て眉を下げると、「今日は父さんと母さんに承諾を得たくて、アイカにも一緒に来て貰いました」とお兄ちゃんは真っ直ぐとお父さんを見た。