StLtH11 (ページ50)

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風「おい」

岸「あ。」

リ「風磨、聞いた！？」

「今、岸が風磨の悪口言った！」ってリリは風磨を見上げて笑う。

リ「さぁ、どうする！」

「お前、俺を自己中って言ったな？」って風磨は岸の頭を撫でて肩をポンポンすると岸はそれに「いや、ちがくて！リリちゃんが！」って口走るから、今度はリリが「はぁ、何よ！？」って岸の頬をぎゅっと挟んで。

それを見た隣のテーブルの岩橋が「岸くん可哀想」って呟くと岸はそっちに目線を寄越して「ウッ、イワゲンタスケテ、」ってリリに頬を挟まれたまま助けを求めた。

玄「やだ」

岸「おい」

玄「めんどくさいもん」

北「(笑)」

風「さぁ、岸。どうされたい？」

リ「ケーキまだあるけど食べるの？」

風「よし口開けろ」

岸「いやーっ勘弁してくださいよー」

リ「最後の一個ね、岸！あーんしてあげるから！」

リリは楽しそうにケーキを１ピース持ってきて「あーん！」って岸の口に寄せる。

岸「・・・もう、無理っす・・・」

風「俺のことなんて言ったんだっけ？はい、あーん」

岸「・・・北斗くんっ！(泣)」

風「さぁ口を開けろ」

北「元々はお前の所為」

岸「っっ！(泣)」

泣きそうな顔の岸はそのまま口を開いて１ピースのケーキをまるまる食べて口の周りをベタベタにしながら咀嚼する。

リ「あはは、可愛い(笑)」

風「よしよし」

風磨は岸の頭を撫で回して、リリはちゃんと岸の口元をティッシュで拭いてあげてる。
その光景は本当に岸が大好きな兄妹にしか見えなくて思わず笑みが溢れた。

これは何回も見た光景。
いる場所が違うだけで、俺はずっとこの3人を見てきた。
思わず高校の頃を思い出す。
リリが居なかったら、俺は風磨とも岸とも仲良くなってないのかなとか思ったりもする。

北「・・・、」

少なくともあの頃、楽しかったと思えたのはリリのおかげだよな。って思いながらあの頃と変わらない笑顔を見つめて思った。