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服を着て見せるのに向いた、体型。
視線を奪う、整った顔。
人の気を惹きつける、オーラ。
多少個人差はあっても、彼女たちにはそれがある。
七「イメージにピッタリな子、いる?」
美「ん〜」
頭の中のデザイン画と、目の前にいる彼女達一人一人を重ねて。
美「・・・」
結局みんなイマイチで思わずため息を吐く。
確かに、着せてみないとわからない。
きっと似合うはずだけど、去年みたいに入賞したいなら自分の服だけを見てもらうんじゃなくて・・・なんというか、モデルの「魅せる力」も必要なわけであって。
七「まぁ、すぐには決まらないよな」
去年みたいにビビッとくればいいのにね、としめは笑って、「リリちゃんじゃダメなの?今年は」と俺を見上げた。
美「ダメ、ってわけじゃないんだけど・・・」
またリリに頼んだら、去年と同じことを繰り返しそうで。
また、リリにあの言葉を言わせちゃうんじゃないかって。
・・・自意識過剰なのかな、俺。
美「・・・、」
七「にしても去年のリリちゃんはすごかったよなー」
神戸まで見に行った甲斐があったわーとしめはシャンパンを口に含むと「ふふ、」と笑って。
七「素人とは思えないウォーキングだったよ」
「あの時、会場にいた誰もがリリちゃんのオーラに圧倒されたし。みんなみんな、なんつーの、掴まれた?みたいな!」としめは興奮気味にそう声を上げた。
七「俺はね、惚れてると思ってたんだけど」
美「・・・何に?」
七「んー」
「リリちゃんの美貌?」としめはニヤッと笑って俺を見上げた。
・・・。
美「・・・リリは、」
七「あ、モデルとしてね?」
美「え?」
七「モデルとして、惚れてるってこと」
美「・・・、」
七「お前の中にあるモデル像ってリリちゃんなんでしょ?」
美「・・・、」
七「認めちゃえば〜」
美「・・、」
七「楽になるよ?♡」
美「・・・」
七「お前はー」
美「あのさ、」
七「リリちゃんがいいんだってば」
美「しめ」
七「何?」
美「確かに、リリはモデルとしての美貌を持ってるけど」
七「けど?」
美「・・・けど、」
七「けど、何?」
「リリちゃんがモデルとしての美貌を持ってるから、でしょ?」としめはわかったような顔してそう呟いた。
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作者名:愛美 | 作成日時:2018年1月23日 12時