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チリリンー、と。
タルーレ独特の鈴の音。





ドアが開いたと同時に大きく感じる雨の音につられるように、私はそっちに目を向けた。









美「うわ、濡れた」







小さくそう動く口元。
あの日と同じ、黒のコート。
それについた雨水を払うように袖を触る彼を見つめて、胸が反応する。



・・・あぁ、みゅうさんだ。




徐に動いた視線。

私がいつか好きだと言った黒いキャップから覗く大きな瞳。

その視線が、私の視線と絡んだ。






「・・・っ」








ぐらん、って胸が大袈裟に揺れた気がした。






・・・あぁ、みゅうさんだ。









久しぶりに見るその姿に、心が、揺れる。








私を捉えたその目元がふわっと柔らかく下がる。
みゅうさんは微笑んで、「A」と口を動かした。







それがなんだか擽ったくて。
私も口角をあげようとした瞬間、みゅうさんの姿は、長い髪の持ち主によって、見えなくなった。









「みゅーと!」







まるで、スローモーションのよう。
まるで、ロマンスのワンシーンだ。







その影は、みゅうさんのと、重なる。






「・・・、」


宮「公開、ラブシーン?」


顕嵐「・・・、」






ざわつく店内、その後のわずかな沈黙。

男女が抱き合ってるんだから、当たり前か。





「・・・」






店内の視線がそっちへ向かう中、その長い髪の持ち主は嬉しそうにみゅうさんの首に腕を回して「会いたかった!」と微笑んだ。





みゅうさんはその女の人を見下ろすと、困ったような視線を向けて。




美「リリ、」




そう、小さく、彼女の名前を口にした。




リ「ただいま、美勇人!」





彼女は嬉しそうにみゅうさんを見上げて。
みゅうさんも彼女を見下ろしていて。



見つめ合う二人をもう見てられなくて、テーブルの上のパンケーキに視線を移した。

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設定タグ:森田美勇人 , 7ORDER , 愛美   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:愛美 | 作成日時:2018年1月23日 12時

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