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クリスマスも、お正月も、ずーっとずーっと、じんと一緒だった。
家に、帰りたくなかった。
家にいると、どうしても、あの日を思い出してしまう。
あの日の、みゅうさんを、思い出してしまう。
・・・罪悪感で、死にそうになった。
何をしようとしていたの。
ただ、あの人を、思い出しただけだ。
ただ、あの人を、思い出したくなかっただけだ。
ただ、あの人から、逃げたかっただけだ。
私を縛るあの人の思い出から、逃げたかっただけ。
逃げたくなった時、たまたま目の前に、みゅうさんがいたから。
もしあの時、目の前にじんがいたら、どうだったんだろう。
きっと、何も言えなかったんだろうな。
じんとあの人が直接的な関わりを持っているからこそ、私は何も言えないんだろうな。
・・・きっと、何も知らないみゅうさんだったからこそ。
何も知らないからこそ、言えたんだ。
ーイイ子じゃなくていいよ
気を抜けば、その声が聞こえてきそうで。
「・・・私って、人に甘えてないと生きていけないみたいなんです」って言った私に、優しくかけてくれたあの言葉も、聞こえてきそうで。あの腕の温もりを、思い出しそうで。
ーいつか、強くなれるよ
あぁ・・・また頭の中で、永遠ループ。
今まで、誰にも言われたことのないその言葉。
「・・・、」
小さくため息を吐いて、じんの寝顔に背を向けた。
あなたの隣にいるのに、みゅうさんのことを考えてしまう最低な女だよ、私は。
でも、だからと言ってじんと離れられる訳がない。
離れるのは、怖いんだ。
やっぱり私には人に寄っかからないで生きるなんて、無理なのかな。
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作者名:愛美 | 作成日時:2018年1月23日 12時