StLtH2 (ページ34)

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もう前に進めなくていいからじんだけは、側にいて。

最近まで私はそう思っていたはず。

じんがいれば、笑顔でいれる。

そう思ってた。

でもあの家にいることで私は少しずつ変わっていた。

自分でも気づいていた。

「お前が前を向くまで一緒にいてやるから」

じんとキスをしたあの日、そう約束した。

それを裏切るみたいになって、じんが居なくなるんじゃないかと怖くなった。

だから、じんに会いに来た。

神「前を向くタイミングが来たんだよ」

穏やかに微笑むじん。

消えそうな笑顔にどんどん涙が滲む。

「でも、じんは、」

神「お前がその萩ちゃんに向けた「後悔しないで、」って言葉本当は自分に向けたんじゃねーの？」

「、、、」

気づきたくなかった。

改めて、気づきたくなかった。

萩ちゃんに後悔しないで、と伝えた時。
私の頭には一人の人物がいた。

なんでか分からなかった。

だから戸惑ってるんだ。

だって私はもう同じことを繰り返さないし、私は人の背中を押すなんてこと出来ないと思ってた。

神「俺といると、過去ばっか思い出すんじゃねーの？」

少しだけ悲しそうな瞳をしたじんが私にそう訊く。

「違う、そうじゃない。じんは、じんは」

さっきからどんどんじんと離れていくような感覚になる。

嫌だ。

なんでそんなこというの？

そんな悲しい顔しないでよ。

「まだ、怖い。じん、まだ怖いから。・・・一緒に居て。お願い。」

神「A。」

「じんしかいないの、私には、じんだけだよ？」

私がそういうじんは切ない顔した。

もうそんな顔を見たくなくて、じんの頭を掴んで自分に寄せた。