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流れてくるアラームと共に重たい瞼を開け、朦朧とする意識をはっきりさせる。
鳴り響いたまま止まらないスマホを手探り寄せて、スライドさせた。
通知を確認するとお兄ちゃんからLINE。
そこには一言だけ。
ー大丈夫か?
もう過保護だなぁ。
結婚してさっさと家出てった癖に。
こういう時だけ。
重い体をブワッと起こし、なにもない殺風景な部屋を見渡す。
どういうお部屋にしてやろうか、とワクワクするのは建物含め空間が好きだから。
って私、だから建築学に入ったんだけど。
顔を洗うために一回廊下へ出て左に進む。
あ、そういえば・・・
「これ、」
手の中のものを見つめて細く微笑んだ。
昨日、11時までみんなでテレビを観てたら少しずつ部屋に戻っていくから最終的に私と顕嵐くんと美勇人さんだけになってじゃあ一緒に戻ろうかって上まで上がって部屋の順番的に顕嵐くんが一番最初に入り「おやすみー」なんて言って美勇人さんと二人きりになって、じゃあと部屋に入ろうとしたんだけど。
思い出して、思わず笑みが出る。
Aちゃん、と引き留められて「ちょっと待ってて」という美勇人さんの言葉通りちゃんと待ってたら、一回部屋に入った美勇人さんが、片手にあるものを持ってやってきた。
美「これ、」
「これって、」
渡されたのは黄色い鳥のキーホルダー。
「名前なんだっけ、スヌーピーにいるやつ!」
そう私が言うと「ウッドストック?」と笑う。
「そう、それ!かわいいですね(笑)」
美「それあげる。Aちゃんがお風呂入ってる時それ扉ん所に掛けておいて」
「はい、わかりました」
美「ちなみにこれ、名前あるの。」
「パセリ」と自慢気に見せてくるけどそれ真っ黄・・・。
「パセリ・・・ですか?」
美「うん、かわいいでしょ?」
「あ、はい(笑)」
美「じゃあ、お風呂使う時掛けてね。・・・流石に2回も人に見られるの嫌っしょ?(笑)」
「はい(苦笑)さっきは見苦しくてすみませんでした」
美「いや(笑)俺は別に?ほら、綺麗でしたけど・・・」
「やめてください(笑)恥ずかしい・・・」
美「ふふ、さっきほんとはごめん(笑)じゃあ・・・寝るね!」
「はい」
美「おやすみ」
「おやすみなさい」
クルッと私に背を向けて部屋に入ってく美勇人さん。ドアからちょっとだけ顔を出すともう一度「バイバイ」と手を振ってはにかんだ笑顔でその向こうに消えていった。
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作者名:愛美 | 作成日時:2017年7月14日 2時