コードブルー 〜Ein Licht〜

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───私が今それ言おうと思ったのに。



「消防も救急も警察も目的は同じだ。ひとつでも多くの命を救うために仕事をしている。

その方法を一番よく知っているのが医者だ。だから現場は医者の判断で動く」



そうだよ、恵ちゃん。



「だが、医者が大勢いた所で機能しない。引っ張っていく人間が必要になる」



恵ちゃんにはその才能があるんだから。

それに、信頼されてる。



「────白石、指揮官になれ」



優しくて、人想いで、真面目で、一生懸命で。



「お前は仲間の能力をよく知っているし、患者とその家族両方のことを考え、決断することもできる。ほかの組織の人間ともうまくやれる」



そんな恵ちゃんだからこそみんなはついて行こうと思えるんだよ。

他の誰でもない貴方に。



「治療ができる医者は他にもいる。緋山も、藤川も、Aも。それに─────俺もいる」



私たちには出来ないことだから。

その代わり、治療は任せてよ。



「行け」



深呼吸をする恵ちゃんから器具を受け取って指示を聞く。



「救出できたらこの子を第一優先で搬送して。消防とCSには私から伝えておく」

「了解」

「おっけー」



駆けていく彼女の足音。

残ったのは耕作が動かす器具の音だけ。



「いいこと言うね」

「俺が言わなくたってお前が言ってただろう」



───わぁさすが。



「私のことよくわかってるじゃん」

「あたりまえだ」



意外にも真面目に返されて戸惑ってしまう。


───なんか調子狂うな。



「そこ、しっかり抑えててくれ」

「うん」



まぁ耕作の不器用さは健在だったということで。

変わらない優しさに小さく笑みが零れた。

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