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(白石side)
『こちら翔北ドクターヘリ。離陸10時26分。あと8分で翔北に到着します』
朝の初療室にスピーカーからの声が響く。
「今週で辞める?三井先生が?おい冗談だろ、それ」
「私もさっき聞いたの」
───冗談だろって、それ私が言いたいわよ…。
ボードに患者情報を書き込む藤川先生に朝の出来事を手短に伝える。
『三井が今週で退職する。急で申し訳ないがよろしく頼む』
橘先生から告げられて食い下がったけれど。
───あんな顔みたら何も言えない。
でも三井先生がいなくなってしまったらお先真っ暗なのも事実だし…。
慢性的な人手不足に加え、フェローの指導。
スタッフリーダーとしてちゃんとしないと、とは思うけど、どうしたら。
こんなとき、あの子なら。
『大丈夫大丈夫!なんとかなるよ、恵ちゃん!』
そう笑ってくれるんだろうな。
───ダメなクセだ。
なにかある度に思い出して、
そばにいて欲しかったと思う。
彼女だって頑張ってるんだから。
ポケットの中に入っているブレスレットを上からなでて深呼吸。
───大丈夫、やっていける。・・・ううん。やってみせる。
気を取り直して指示を待つフェローの元へ向かう。
「灰谷くん、レボア用意してくれる?」
「はい!」
元気のいい返事に感心していたのも束の間。
備品棚と逆に向かう体。
「あっ、」
自分で気づいて方向転換できただけ良しとすべきか、いつまでも慣れないところを注意すべきか…。
───指導って難しい…。
恩師たちは偉大だ。
この立場になってからより強く思う。
「君、次からあのメモ書いてね」
「あーはい。わかりました」
声のする方へ視線を向ければ、藤川先生が名取先生に指示を出しているところ。
いつも通りに答える名取先生だけど。
なんか冷めてるっていうか……。
それより横峯先生はどこかな。
見てないけど・・・
「レベルワン用意してあります。開胸セットは来てからでいいですか?」
「お、おぉ。ありがとう」
「すみません!」
雪村先生に気圧される藤川先生を視界の端で捉えると同時に扉が開き、横峯先生が駆け込んでくる。
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時雨(プロフ) - 姫乃さん» 全然大丈夫ですよ(^^)ありがとうございます!ほんとうに応援コメント嬉しすぎます!!!これからも頑張るのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2018年9月3日 23時) (レス) id: b12319ed65 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - cometさん» 応援のコメントありがとうございます(^^)嬉しいです!これからも頑張るのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2018年9月3日 23時) (レス) id: b12319ed65 (このIDを非表示/違反報告)
姫乃 - すみません!先ほどのコメントは付いていない方がでしたいいと思います!と書いたつもりだったんですが間違えてました。アンケート終わっているのにすみません。 (2018年9月3日 22時) (レス) id: 7fe36c8cdf (このIDを非表示/違反報告)
姫乃 - 私も名前付いてた方がいいと思います!この作品大好きです!これからも応援してるので無理のないペースで頑張ってください! (2018年9月3日 21時) (レス) id: 7fe36c8cdf (このIDを非表示/違反報告)
comet - 名前なんですが、今のままでいいと思います!展開が分からないわけでもないので大丈夫だと思います!!いつも楽しませてもらってます!更新頑張ってください!ずっと応援してます! (2018年9月2日 21時) (レス) id: fcd67c983f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作成日時:2018年8月30日 12時