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その日私は、
シムくんとは
もう逢わないって最後まで言えなかった。
ユノがその言葉を望んでいたかどうかも
わからないけど。
梅雨入りの頃、私もシムくんもソヨンにも、
無事に内定通知が出た。
そして、
それはすごく突然訪れた。
金曜日の夜、ユノに内定祝いに食事に連れて行って
もらった帰り、かなり混雑した車内だったけど、
私は隣の車両にシムくんを見つけた。
「ねぇ、あれシムくんじゃない？」
ユノは私が見ている方向を見渡した。
YH 「…どこ？」
「あの、隣の車両で背を向けて本読んでる…」
YH 「隣の車両？背を向けて……………え、どこ？
……あぁーあれ、か？」
「ね、そうだよね。」
YH 「よくわかったな、チャンミナだって。
乗ってすぐに、あんな離れたところ。
しかも後ろ姿。」
「え、うん…だって、シムくん特徴が多くない？
背が高いし、少しくせ毛だし、なで肩だし、
あと耳の形もわかりやすいよね。」
私がそう言うと、ユノが一瞬ポカンとした後、
顔をクシャっとさせて笑った。
YH 「はははっ…
そっか。うん、そうだよな。
A、それってチャンミナのこと
好きだって言ってるようなもんだよ。」
「…え、なんでそんなこと言うの…」
すぐにそう言ったけど、
何も言わずに私の頭をポンポンってしたユノ。
何か吹っ切ったような表情に胸騒ぎがした。
電車を降りて、
ホームで向き合うように腕を持たれた。
今日は、ユノの家に泊まる予定だったのに、
さっきまで内定祝いしてくれていたのに、
今も私を見る目は、初めて飲み会で隣に座った頃と
何も変わっていないと思えるのに、
ユノは、
別れよう、
そう言った。
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作者名：ｻﾗ
| 作成日時：2018年10月8日 21時
