LOVE～CM (ページ29)

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ガコンっと

大きな音を立てて

黒焦げの鉄板がシムくんの手から滑り落ちた。

洗い場にいた子がびっくりして振り向いたけど、

シムくんは固まったまま。

「ご、ごめん。びっくりしたよね？」

私がそう言うと、みんな、びっくりしたぁーと言い

ながらも、それぞれの作業へと戻った。

「シムくん？」

鉄板を拾い、腕をポンポンっと二回叩く。

CM 「え？あっ、ごめ、大丈夫？

足に当たってない？」

ようやく会話ができるようになった。

「うん、大丈夫。

えっと…なんか、ごめん。

みんなには隠してたんだよね？

こんなところでいきなり聞いてごめん。」

こんなに驚かれるとは思っていなかったけど、

と謝ると、

CM 「なんで？ユナさんから、なんか聞いた？」

少し、こわばった声だった。

「ううん、私ユナさんとそんな話するほど親しくな

いから…2人で歩いているところ、見たんだ。」

CM 「どこ、で？」

うーん、それ、は答えにくい…

「あーどこだったかな？バイト先の近く、かな？」

咄嗟にはぐらかしたけど間違いではない。

CM 「そんなわけない。」

思わず洗い物の手を止めて、隣のスペースで焦げを

落とし始めたシムくんの方を見ると、

自嘲するような薄笑いを浮かべていた。

え、なに…

CM 「俺とあの人は、

ホテルでしか逢ったことない。

2人で並んで歩いたりしてない、したくない。

あ、そうか。

Aちゃんも、あの通りにいた？」