21〜彼女の知らない話 CM ページ21
YH「おはよう」
開店前の静かな店。
更衣室に入ると、チョンさんが着替えていた。
CM「…おはようございます。」
驚いたと気づかれないように必死に表情を消して、
答える。
でも、なんでいるんだろう、とは思わなかった。
Aちゃんの代わりだろう。
昨日の夜、あれから2人がどうやって過ごしたか
なんて想像したくない。
ただ、彼女があれ以上泣かずに済んだのなら…
それはよかったな、と思った。
YH 「朝入るのすごい久しぶりなんだ、
とりあえず各部屋の掃除と機械の電源入れてくれば
いい？」
CM 「あ、はい、それでお願いします。」
それから、朝シフトが終わる時間までチョンさんと
特に会話を交わすこともなかった。
それなのに、お先に…と先に出たチョンさんは、
店を出たところで俺を待っていた。
YH 「お疲れ」
CM 「お疲れさまです…。」
YH 「Aが家で待ってるから、
どっかでお茶ってわけにはいかないんだけど。
ちょっとだけいい？」
CM 「はい…」
店が入っているビルの非常階段へと向かう
チョンさんの後を歩きながら、
この人…めちゃくちゃ頭小さいな、などと
どうでもいいことを考えていた。
非常階段を少し上がった踊り場で振り向いた
チョンさんは、
YH 「昨日、Aの家の前でシムくん見たとき
はマジでムカついたんだけど。
よく考えたら、俺のせいだよな、全部。
Aが1人で泣かずに済んでよかった。
一緒にいてやってくれて、ありがとう。」
そう言って俺に頭を下げた。
…公正明大すぎて呆気にとられた。
CM 「いえ…。チョンさんは不可抗力だったのでは
ないかと思います。」
YH 「ははっ、ありがと。そんな事ないよ。
でも。
Aは渡さない。
じゃあな、チャンミナ、良いクリスマスを。」
そういうと、チョンさんはAちゃんの元へと
帰っていった。
奪いたい、とか、そういうんじゃないんだ。
ただ、彼女が幸せであればいいんだ。
若いのに枯れてると笑われるかもだけど、
彼女が笑っていてくれたらそれでいいんだ。
できれば近くで見ていたいけど、
1番近くで見れなくてもいいんだ。
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作者名：ｻﾗ
| 作成日時：2018年9月30日 20時
