第八十五話 ページ39
Aside
だけど、誰かは思い出せない。
あの視線には覚えがある。声も顔も口調さえ変えてるみたいだからはっきりと誰かはわからない。
殺せんせー「何か?」
シロ「いや、皆いい子そうですなぁ。これならあの子も馴染みやすそうだ。席はあそこでいいのですよね、殺せんせー」
シロは律の隣の席を指しつつ、殺せんせーに尋ねる。
殺せんせー「ええ、そうですが」
シロ「では紹介します。おーいイトナ‼入っておいで‼」
皆に緊張が走り、ドアに注目する。
だけど、気配はそっちじゃない。
ゴッ!という音とともに、教室の後ろの壁が壊れて、そこから入ってきた男の子はスッと座席に座った。
…………!この子………。
イトナ「俺は…勝った。この教室のカベよりも強い事が証明された。それだけでいい…それだけでいい…」
ひくクラスメート達。
シロ「堀部イトナだ。名前で呼んであげて下さい。ああそれと私も少々過保護でね。しばらくの間、彼の事を見守らせてもらいますよ」
カルマ「ねえ、イトナ君。ちょっと気になったんだけど。今、外から手ぶらで入って来たよね。外どしゃ降りの雨なのに…なんでイトナ君一滴たりとも濡れてないの?」
イトナ「………」
イトナはキョロキョロと教室を見回した。
イトナ「………おまえは、たぶんこのクラスで二番目に強い。一番強いのはあの女だ」
イトナが指したのは私。だが、視線はカルマさんに向けたまま。
イトナ「けど安心しろ。俺より弱いから…俺はおまえを殺さない」
イトナは次に、私を見た。
イトナ「お前は、もしかしたら俺より強いかもしれない。でも、お前は俺の敵じゃない。俺が殺したいのは、アンタだけだ、殺せんせー」
イトナは殺せんせーに歩み寄っていく。
シロからもらった羊羹を頬張る殺せんせーは余裕の表情だ。
殺せんせー「強い弱いとはケンカの事ですか、イトナ君?力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ」
イトナ「立てるさ」
イトナは自分も羊羹を出す。
イトナ「だって俺達、血を分けた兄弟なんだから」
クラス中が固まる。
「「「「き、き、き、き、兄弟ィ⁉」」」」
イトナ「負けた方が死亡な、兄さん」
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紅月言葉(プロフ) - ナゾトキ姫は名探偵、僕も読んでます!! (2020年11月1日 3時) (レス) id: 2caf54bf90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぬたぬ | 作成日時:2018年10月1日 9時