第七十一話 ページ25
Aside
『_______ッ‼』
がばっと起き上がると、頭と腹がずきりと痛む。
顔に垂れた前髪をかきあげると、ぐっしょりと濡れていた。
『ハアッ…ハアッ…』
息が荒い。
今みた悪夢があまりにもリアルで、動悸がおさまらない。
周りを見ると、もう皆寝静まっていた。それが、先程の夢の光景に重なる。
『うっ…』
吐き気が込み上げてきて、トイレに駆け込んだ。
『う…げほっ、は…』
吐き気が収まり、トイレから出ても布団に戻る気にはなれず、外に出た。
そんな私をじっと見つめる視線にも気付けずに。
イリーナside
『ハアッ…ハアッ…』
誰かの荒い息遣いに、目が覚めた。
誰よ、まったく…。
『うっ…』
部屋から出て行くのは紺色の髪___ヨルヤだ。
その横顔は、幽霊かと思う程青ざめていた。
…通称、【黒の組織】。
詳しいことは何もわからない。幹部がまるで鴉のような黒い服装をしていることから、そう呼ばれている。
毒薬の開発から拳銃密輸など、活動は多岐に渡る国際的犯罪シンジケート。
お酒の名前をコードネームとしていることは有名だ。
組織が恐れられるのは、その徹底したやり口と冷酷さ。
邪魔した者や裏切った者には、容赦ない制裁が下る。
組織の幹部…ベルモットことクリス·ヴィンヤードとは一度会ったことがある。
ヨルヤの口から彼女の口癖が出た時、大層驚いた。
タコいわく、ヨルヤはベルモットから《ネグローニ》と呼ばれたらしい。つまり、あの子は組織の幹部だ。
だが、今の弱々しい姿は、友達を庇い負傷した様子からは、とても冷酷な組織の幹部には見えなかった。
なんであんなとこいるのかしらね…。
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紅月言葉(プロフ) - ナゾトキ姫は名探偵、僕も読んでます!! (2020年11月1日 3時) (レス) id: 2caf54bf90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぬたぬ | 作成日時:2018年10月1日 9時