第六十四話 ページ18
Aside
____ 「……ちゃん!」
『は…』
懐かしい夢から目を覚ますと、見知らぬ天井。一瞬警戒してしまったが、傍らにいるイリーナさんの存在に、すぐに旅館だと思い当たる。
丁寧に巻かれた包帯。浴衣ということは、この傷だらけの体を見られたのだろう。
イリーナ「…あんた、不良ごときにやられるようでやってけんの?」
イリーナ「その年で、そんなに体傷だらけにして…女は体を大切にしないとダメよ」
ベルと同じこと言ってる…。
『…今日は、武器を持ってなかったので』
今日は銃はもちろん、ナイフもピックの1本さえ持ってなかった。これからはどんなときでも最低1本くらいは忍ばせておこう。
イリーナさんが更に何か言おうとした時、ガラッと襖が開いた。
カエデ「ビッチ先生!Aちゃんは…あ、目覚ましたんだ!」
神崎「夜矢さん、大丈夫?」
二人は心配そうに駆け寄って来た。
包帯だらけの体を見て、苦しげに顔を歪める。
カエデ「ごめんね、私達のせいで…」
『カエデ達のせいじゃないよ』
神崎「でも…」
『私は大丈夫だから、ね?』
起き上がり、二人の頭をぽんとたたいて微笑む。
二人はようやく安心したように笑った。
カエデ「それにしても、どうしたの?」
『なにが?』
カエデ「体傷だらけじゃん!」
神崎さんもこくこく頷いている。
『あー、探偵やってるとけっこう危ないことに巻き込まれることあるから…』
神崎「危ないこと?」
『逆上した犯人が襲いかかってくるとか。この肩のは爆弾騒ぎの時のだし』
…が、半分だ。もう半分はちょっと言えない。
カエデ「大変なんだ…。あ、渚達に知らせてくる!皆も心配してたよ!」
カエデと神崎さんはまたパタパタと出て行く。
再度イリーナさんと二人っきり。
さっき言いかけたことを、イリーナさんは言おうとしたようだが、またしても遮られた。
私の電話が鳴っている。
表示は、《安室透》。
『…イリーナさん』
イリーナ「出ないの?」
『…保護者に連絡しました?』
私の両親はいない。だから、保護者には、ベルの顔の一つを登録している。
でも、今はベルは連絡がつかない。なぜか?組織の任務で電話の電源は切っているからだ。
その場合、次の連絡先として指定したのが_安室透だ。
小五郎のおじさんにお願いしようとしたら、横から安室が書いて行ったのだ。
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紅月言葉(プロフ) - ナゾトキ姫は名探偵、僕も読んでます!! (2020年11月1日 3時) (レス) id: 2caf54bf90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぬたぬ | 作成日時:2018年10月1日 9時