第六十一話 ページ15
Aside
何発殴られただろう。
朦朧とする意識を必死に繋ぎ止めて、痛みに耐える。
なんとか立ち上がろうとしているが、体に力が入らない。
骨はいってないが、けっこうなダメージがある。口内を切ったらしく、血の味がする。
スタンガンかナイフ持ってきとくんだった…。
やっと気が済んだらしい不良どもは、私をカエデ達の方へ放り投げる。
カエデ「Aちゃん!」
心配そうに覗きこんでくるカエデと神崎さん。
不良「お前もどっかで見た顔だと思ってたが、まさかあの中学生探偵夜矢Aだったとはなァ」
リーダー格の男がニタニタした顔で言う。
不良「お、来た来た」
入口のドアから誰か入って来た。
不良「うちの撮影スタッフがご到着だぜ」
息を呑むカエデ達とは裏腹に、私はその慣れ親しんだ気配に、強い安堵を覚えた。
入って来たのは、ボコボコにされた男。
「修学旅行のしおり1243ページ。班員が何者かに拉致られたときの対処法」
男は乱暴に投げ出され倒れる。
「犯人の手がかりが無い場合、まず会話の内容や訛りなどから地元の者かそうでないかを判断しましょう。地元民ではなく、更に学生服を着ていた場合→1244ページ」
こちらを見据える皆。安心する声。
渚「考えられるのは、相手も修学旅行生で、旅先でオイタをふる輩です」
カエデ「皆‼」
不良は驚いた顔で渚さん達を睨む。
不良「なっ…てめぇら、なんでココがわかった…⁉」
渚「土地勘のないその手の輩は拉致した後遠くへは逃げない。近場で人目につかない場所を探すでしょう。その場合は→付録134へ。先生がマッハ20で下見した…拉致実行犯潜伏対策マップが役立つでしょう」
…けっこう役に立つんだな、あのムダにぶ厚いしおり。帰ったら読み返そう。
カルマ「…で、どーすんの?お兄さん等。女子拉致って、夜矢さんはボコボコにされてる。こんだけの事しでかしたんだ。あんた等の修学旅行はこの後全部入院だよ」
怒っているカルマさんの声を最後に、意識を失った。
182人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅月言葉(プロフ) - ナゾトキ姫は名探偵、僕も読んでます!! (2020年11月1日 3時) (レス) id: 2caf54bf90 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たぬたぬ | 作成日時:2018年10月1日 9時