第四十七話 ページ1
Aside
「なあ、そこ席間違えてねぇか?」
ごま塩をおにぎりにかけていると、後ろからそんな声が聞こえてきた。
女性「あらヤダ本当!ごめんなさい!私ったら他の方の席で食べものなんて広げて…すぐ片付けますわ」
ガサガサという音がして、女性が立つ。
私の向かい側の席のサングラスをかけた老人も席を立った。
そして、女性と勢いよくぶつかる。
女性「キャッ」
老人は謝りもせず歩いて行った。
『大丈夫ですか?』
女性「ありがとうね。あなたの隣だったわ。前を失礼してもいいかしら?」
『どうぞ』
後ろをチラッと見ると、見知った顔がいた。
『あ…!陣平!』
松田「あ…!」
後ろにいたのは松田刑事。私が色々あって命を助けた元爆処のエースで、今は捜査一課にいる。
その左手は、フードを深く被った隣の人の右手とパーカーに隠されていた。
『ヒソッ)もしかして容疑者護送中なの?』
陣平はぶっとふいた。
松田「な…なんでそう思った?」
『陣平のとなりの席の人…手元を隠しているからもしかしたら手錠を隠してるのかな、って』
松田「ったく…相変わらずこえーくらい察しがいいな…とにかく!今は仕事中だからもう話しかけんなよ?」
『私も修学旅行中だしね。仕事頑張れ』
以上のやり取りは全てヒソヒソ声で行われているよ。
女性「お知り合いだったの?うしろの席の方」
『ええまぁ…』
女性「よかったらあなたも一緒に食べない?」
彼女は自分が食べていたスナックをさして言う。
『私もおにぎりを食べようとしていたんです。お一ついかがですか?』
女性「いいの?そういえばあなた…どこかで会ったことあるような…」
『はいどうぞ!』
私は、今、〈中学生探偵夜矢A〉とバレないよう、だて眼鏡をつけ、髪を三つ編みお下げにして、地味めの女子生徒風にしている。変装しなくても、印象が変わると意外とバレないんだよ。
少し強引におにぎりを渡したせいか、ラップに包まれたおにぎりは落ちてしまい、また向かい側の席の人の方へ。
老人「またお前か!」
男性「まあまあ…はいどうぞ」
『すみません…』
男性が差し出してくれたおにぎりを取ろうとすると、後ろから伸びた手がヒョイと取った。
女性「ありがと〜」
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紅月言葉(プロフ) - ナゾトキ姫は名探偵、僕も読んでます!! (2020年11月1日 3時) (レス) id: 2caf54bf90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぬたぬ | 作成日時:2018年10月1日 9時