ＬＯＶＥＲ'Ｓ- [ 短編集 ] -

0 2 / Lover Boy(美男) × Blue. ページ7

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「第二営業部の渡辺です。よろしくお願いします」






この声。

この滑舌に……この独特な甘ったるい香り。


何よりこの
ただ居るだけで女の人を虜にしてしまう
……色白で、冷めた目をしてる塩顔。





あの渡辺翔太だとすぐに気づいた私は

思わずひゅ、と息を呑んだ。






中学の時の同級生、

もとい学年1の悪ガキ、もとい1軍の絶対王者男、

もとい……私をいじめてた“ カス男 ”。







“ なんかアイツやばくね？負のオーラもう、エグいわ ”






「さっそく今回のイベントの件なんですが…」








渡辺が喋るたびに
あいつからかけられた呪いの言葉が頭を掠める。



何でこんなところで再会するの？？



さいあく、…さいあくさいあくさいあく。
ほんっと最悪。








人生で1番私の人生に必要ない奴を選べって言われたら
私は絶っっっ対に「渡辺翔太」と即答しているはずだ。



それくらい私にとったら忌々しい存在で一生会いたくなかった男。




それが渡辺翔太。……大嫌いな人。







「今回のイベントのチーフを務めます…A、
と、申し、ます。よろしくお願い致します」






軽ーく自己紹介をして苗字の部分だけは聞かれないようにめちゃくちゃちっさく呟いた。


でも


「…早速ですが」と強行突破で説明に移ったのに
皆が資料を見ている中であの渡辺だけが私を穴が開きそうなほどじーっとみつめていた。





…え？バレた？…バレちゃった？？

うわ、あの時いじめてた根暗女じゃんて顔か？それ






バチっと視線まで絡んでしまって
慌てて咳払いをして資料を見たけど、心臓のバックバクが一向に収まろうとしてくれない。






…はい 終了。と心の中で呟いた。


今回は渡辺の会社が協力してくれる形なんだし、
それに名刺を見たら同い年なのに課長やってるらしいし、何か言われたら私はきっと下手に逆らえない。

逆らっちゃいけない。






渡辺は偉いくせにろくに資料も見ずに私ばかりをジロジロ見つめているし、

「それでは第1回目の合同会議を終了致します」と号令がかかればもう、飛ぶ勢いで私のとこにやってきた。









「あのすみません、」

「…、な、…何でしょうか？」

「ちょっと…2人きりで話したいので、」








「下のカフェに来てくれませんか？」。


そう言って渡辺は私の返事もろくに聞かずに
先に行ってます、と横を通り過ぎて行った。






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