花に名を ( jump×jump )

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有岡side




テレビ番組の収録前、楽屋に置いてあった雑誌に
自然と目がいった。

表紙にはでかでかと書かれた“知念侑李”の文字。




それに引きつけられてぱらりとめくれば、にっこり笑顔をした、俺の愛おしい人。

その顔はどこか疲れが滲んでいるように思えて
心配になった。




知念はちゃんと休めているのだろうか。

主演映画に、インタビューに
慣れないバライティ番組の収録…。

最近、君の頬が痩せた気がする。





その前から、知念のようすがいつもと違うことは
気がついていたけど。

最近は更にそれを強く感じていた。





どうにかしたいとは思うのに、なぜだか、
君の隣に行くことができなくて。

君の恋人なのだから、
一番支えなければいけない立場なのに、

地に根が張ったように、足が君に向かなくて。





知念はいつも大人びていた。

年齢の割に落ち着いていて、
仲良くしているのも年上が多かった気がする。

多分、だから。

知念よりも俺の方が二つ年上なのに、
俺の方が子供っぽい気がして。

年上の人といる知念を見ていると、本当に俺でいいのかと戸惑って。

少しでも余裕になれない俺が、嫌になるから
君の隣に行けなかった。





それが最低なことだって、わかってる。

俺のせいで悩ませていることも、それで知念が悲しんでいることも知っている、けど…。

それでも、小心者の俺はどうすることも
できなくて。





結局、俺はどうすることもできずに、
仲のいい他のメンバーといることが多くなるのだ。






笑っている愛おしい君の姿は何かを隔てなければ、見れないもどかしさに。

紙の上でしか伝えられない思いに、辛くなって。

俺は、ぱたりと雑誌を閉じた。





ちょうどスタッフさんに呼ばれて。

やる気なんて起きないけれど、仕事だからと
笑顔を貼り付けてスタジオに向かった。






その日の夜だった。

知念が消息不明になったと聞いたのは。

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