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−−たかき、別れよう…





その核心に触れた言葉に、反応すら出来なくて。

強い衝撃に麻痺した心は、
感情さえないものとした。





俺は、ようやく彼を見る。

ぱちりとあった彼の瞳が困惑に揺れて…。

辛い、苦しいが水泡になってぱちぱち消えていく。

もう俺には、彼を引き止める気力すら
残っていなかった。





震える手を固く握り、今にも壊れてしまいそうな
心に釘を刺して。

俺は、笑った。

なるべくなんでもないように笑った、つもり。

ビー玉みたいな大きく綺麗な彼の目が、
動揺の色を映して。





「たか、き?」

「もう、行きなよ」

「え?」

「だから本当に愛する人のところに行かなきゃ駄目だって…」

声が少し震えてしまったけれど、それ以外は普通にできたと思う。





小さく、彼が息を呑むのがわかった。





少しずらした視線をもう一度、向ければ彼の
目が赤く充血していて。

目の淵に溜まった涙が、
今にも零れ落ちてしまいそう。





手を伸ばせば安易に届く距離なのに、
それを拭ってやることは出来なくて。

一番近くにいたのに、
遠くなる彼との距離に苦しくなる。

だからさ落ちる前にここを出ていってよ。

何も言わず、出ていって。





彼が立ち上がって、甘い匂いが鼻をかすめた。





−−ぱたん

遠くで、ドアの閉まる音がする。

それは、彼と俺の繋ぐ全てが切れたみたい。

甘い匂いがかすかに残るこの部屋は、
彼を失い、色味をなくして。

耳鳴りのような閑寂が空気を震わした。





訪れることないと思っていた別れ。

一生を共にすると思っていた恋人との離別に、なんとなく、漠然とした夢が打ち壊されていくような感覚に俺は力をなくした。





少しつづなくなってゆく彼の面影に、

小さく笑う彼も、甘える彼も、もう二度と見ることはないのだと、

そう思ったら、もうどうしようもないくらい
それを掻き集めたくなってしまって。

掴もうとするのに、砂時計の砂みたいに
さらりと消えていく。

必死になればなるだけ虚しくて、
俺は泣いていた。





どう足掻いても、掴めない儚すぎる彼の姿。





その彼は、もう愛する人のところに
辿り着けただろうか。

幸せを手に入れて、笑っていれてるだろうか。





そうだったら、それでいい。





さようなら、伊野尾くん。

こんな俺に一生分の、消えそうにない愛を
教えてくれてありがとう。

どうか、愛おしい彼に永遠の愛を。






西洋木蔦【アイビー】永遠の愛・不滅

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トルタ(プロフ) - ぽいさん» 更新も遅く、伝わりにくい文章ですがぽいさんにそう言っていただきとても嬉しく思います。コメントありがとうございます。 (2017年4月27日 19時) (レス) id: f2950f8700 (このIDを非表示/違反報告)
ぽい(プロフ) - 言葉選びが繊細で、トルタさんの人柄が手に取るように分かります...応援してます (2017年4月20日 20時) (レス) id: 97be06f220 (このIDを非表示/違反報告)
トルタ(プロフ) - A-yuy-Aさん» 自分の趣味程度の拙い文章ですがA-yuy-Aさんにそう言って頂きとても嬉しい限りです。ありがとうございます。 (2017年2月13日 23時) (レス) id: 2320849466 (このIDを非表示/違反報告)
A-yuy-A(プロフ) - こんにちは。切ない気持ちの表現とか、文章とても好きです。更新楽しみにしています。頑張って下さい。 (2017年2月13日 10時) (レス) id: 4b9d5955f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トルタ | 作成日時:2017年2月12日 22時

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