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2.雲とアイスと君_3 ページ9

相変わらず周りはざわざわと賑やかだった。しかし音済くんは特に喋ることもなく、わたしも話題を見つけられず、二人の間だけ無言の時間が流れているみたいだ。さっきビーチに上がってきたときに見た、あの周囲から浮いているような空間にわたしも入っているのかなと思うと少し変な感じがした。
だけど不思議だな、とわたしは二つ目のチョコを剥きながら思う。いつもなら無言の時間なんてどうしたらいいのか何を話せばいいのか悩むばかりなのに、今はむしろ、居心地の良ささえ感じているみたい。それはやっぱり一緒にいるのが不思議な音済くんだから、なのかな。だとすればやっぱり音済くんは普通じゃないや。

ちらりと音済くんの横顔を盗み見た。綺麗な顔してるなあ、と素直に思って、ちょっとどきっとしてしまう。こちら側からでは赤い瞳しか見えなかった。じっと、まっすぐ前を見つめる彼は、何を眺めてるんだろう?

「音済くん、何見てるの?」
「……ん、まあ、いろいろだ」

二つ目のチョコを口の中で溶かしながら聞いてみれば、ぱちりと瞬きをして曖昧に返事する。いろいろ、って。

「例えば?海とか?」
「ああ。海。波。人、浮き輪…それに、水平線」

音済くんはそれらを眺めたまま、一つ一つ口にしていく。釣られてわたしも視線を向ければ、音済くんの言葉にリンクするように目に止まっていく。海上を色とりどりの浮き輪がぷかぷか浮かび、大勢の人々がひしめき合っている。「そっか」と呟いた。音済くんはそれ以上何も言わなかった。

音済くんと同じものたちを視界に入れてみる。あちこちでいろんなものが動き、形を変えていくようだった。また無言の時間が訪れて、周囲から浮き上がったような感覚に襲われる。何故かどことなく心地の良い空間。この感覚を味わっている人は、このビーチにいるありとあらゆる人の中でも、音済くんの隣にいるわたしだけなんだなあ、なんてぼんやりと考えた。

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まほし(プロフ) - Alice@Shu.Ryujiさん» ありがとうございます。和南くんも近いうちにお届けできたらと思います〜 (2017年9月10日 20時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
Alice@Shu.Ryuji(プロフ) - かずにゃん待ってます♪ (2017年9月5日 22時) (携帯から) (レス) id: a0d3cca6c5 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - こちらこそ、夏のさわやかさを楽しみにしています♪個人的にはモモとリーダーの話が気になります。 (2017年5月16日 14時) (レス) id: d1f03ffdf9 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 瑠璃さん» 閲覧、コメントありがとうございます!他作品も見ていただけて嬉しいです^^ 夏の爽やかさを出していけたらと思います、お付き合いよろしくお願いいたします〜 (2017年5月15日 22時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - ほかの作品から見始めてこの小説を読みました。なんだかすごく感じのいい文章で即お気に入り決定(*´▽`*)更新頑張ってください! (2017年5月9日 14時) (レス) id: d1f03ffdf9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほし | 作成日時:2017年5月7日 20時

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