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4.貝とオトナと君_3 ページ21

「なー、東京はどうよ?」

場所を変えながら、わたしたちは色とりどりの小さな貝殻を集め続けていた。貝殻自体はたくさん落ちているんだけど、できれば綺麗な色のものを選んで持って帰りたい。西から東に移動しつつ、良さそうなものを見繕う。座り込んで砂をかき分けながら、暉がふと、そんな質問をしてきた。

「ん。ぼちぼちさ」
「ぼちぼち?」
「とにかく人が多いよ。それに空が狭い。こっち帰ってきて、なんか解放感に溢れたもん」
「へえ、確かにあの中でずっと生活すんの、大変そうだよね」

うん、相槌を打って、小さな薄紅色の破片を摘みあげる。色が綺麗だから、とりあえず持って帰ろうかな。小瓶に入れて、わたしはまた視線を砂浜に落とす。

「暉はどう?高校最後の夏は」
「やー、やっぱメインは秋の学祭っしょ。夏休みだけどみんな集まっていろいろやってるよ」
「暉んところ、10月だっけ」
「おう!あ、Aも来る?」

ぱっと顔を上げて、きらきらと瞳を輝かせる暉。10月かあ。丁度大学の夏休みが明けて、それから。大学生の秋って、どのくらい忙しいんだろう。暉はわたしの返事をわくわくと待っているけど、すぐに「うん」とは言えなかった。

「うーん、まあ、考えとく」
「Aが来てくれたら、オレ、一段と張り切っちゃうから!」

ぐっと拳を突き上げる姿は昔と何も変わらなくて、思わず笑ってしまった。

「そっか、それは見に行ってやらんとだね」
「あーまたそうやって年上ぶる」
「ぶってんじゃなくて本当に年上なの。こちとら既に大学生よ?」
「…くそう、一個しか違わない癖に確かに大学生って響きには何となくオトナな感じが漂うから言い返せねえ…っ」

悔しげに唇を突きだした暉にふふんと澄ましてみせる。それから、何だか胸の内に笑いが込み上げてきた。

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まほし(プロフ) - Alice@Shu.Ryujiさん» ありがとうございます。和南くんも近いうちにお届けできたらと思います〜 (2017年9月10日 20時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
Alice@Shu.Ryuji(プロフ) - かずにゃん待ってます♪ (2017年9月5日 22時) (携帯から) (レス) id: a0d3cca6c5 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - こちらこそ、夏のさわやかさを楽しみにしています♪個人的にはモモとリーダーの話が気になります。 (2017年5月16日 14時) (レス) id: d1f03ffdf9 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 瑠璃さん» 閲覧、コメントありがとうございます!他作品も見ていただけて嬉しいです^^ 夏の爽やかさを出していけたらと思います、お付き合いよろしくお願いいたします〜 (2017年5月15日 22時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - ほかの作品から見始めてこの小説を読みました。なんだかすごく感じのいい文章で即お気に入り決定(*´▽`*)更新頑張ってください! (2017年5月9日 14時) (レス) id: d1f03ffdf9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほし | 作成日時:2017年5月7日 20時

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