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1.夏とソーダと君_3 ページ3

「これ口つけて大丈夫?」
「さっき僕もAさんのストロー使っちゃいました」
「じゃ、気にしないか」

釈村なら大丈夫だろうと思ってたけど、一応確認した方がいいよね。気兼ねなくジュースを一口もらう。独特の甘酸っぱさが口の中に広がった。

「釈村は?今からスイカわりっぽいけど」
「ああ、そのようですね」

はい、とジュースを返して聞いてみるけど、にこりと微笑みを浮かべて頷くだけ。釈村は別にみんなと一緒にテンション上げてはしゃげるタイプだと思うんだけど、いいのかな。

「それより、僕この海岸を散策してみたくて」
「え?ああ…なんかいろいろあるみたいだもんね、ここ」

話題が変わった。ぐるりと海辺を見渡してみれば、わたしたちがいるエリアは遊泳ゾーンで遊びに来た人たちがところせましといるけれど、少し左へ行けばサーファーの波場があるらしかったし、反対側には釣りもできそうな岩場が連なっていた。その向こうは…ここからじゃ見えない。

「ええ、ですからAさん」

釈村のレンズがきらりと太陽の光に反射し、眩しくてちょっと目を細めれば、

「ソーダを飲む間だけでも、僕に時間をくれませんか?」
「…へ」

釈村はわたしの瞳を覗き込むようにして微笑んだ。なんだかんだで目鼻立ちの整ったその顔を前にして、そしてまるで漫画の台詞みたいな気障ったらしい台詞が似合っていたから、思わず鼓動がどきりと跳ねる。

「あ、うん。まあいい、けど」
「ぜひとも」

釈村は嬉しそうに笑った。ジュースを持って立ち上がる。それから、コップを持ってない方の手で「さあ」とわたしの手をそっと掴んだ。

「ん?」
「あの岩場の向こうには何があるんですかねえ」

ちょっと、なんで手、と聞く間も与えず歩き出そうとするから、慌てて自由な手でソーダを持ってわたしも立ち上がった。

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まほし(プロフ) - Alice@Shu.Ryujiさん» ありがとうございます。和南くんも近いうちにお届けできたらと思います〜 (2017年9月10日 20時) (携帯から) (レス) id: 2cdb666f4d (このIDを非表示/違反報告)
Alice@Shu.Ryuji(プロフ) - かずにゃん待ってます♪ (2017年9月5日 22時) (携帯から) (レス) id: a0d3cca6c5 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - こちらこそ、夏のさわやかさを楽しみにしています♪個人的にはモモとリーダーの話が気になります。 (2017年5月16日 14時) (レス) id: d1f03ffdf9 (このIDを非表示/違反報告)
まほし(プロフ) - 瑠璃さん» 閲覧、コメントありがとうございます!他作品も見ていただけて嬉しいです^^ 夏の爽やかさを出していけたらと思います、お付き合いよろしくお願いいたします〜 (2017年5月15日 22時) (レス) id: 98138b6672 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - ほかの作品から見始めてこの小説を読みました。なんだかすごく感じのいい文章で即お気に入り決定(*´▽`*)更新頑張ってください! (2017年5月9日 14時) (レス) id: d1f03ffdf9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まほし | 作成日時:2017年5月7日 20時

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