《B-PROJECT》波打ち際の風に紛れて《MooNs》

4.貝とオトナと君_2 ページ20

幼馴染。もっと言えば、弟分。はなたれ小僧だった時から何をするにもわたしの後をくっついて回っていた姿はよく覚えている。最初は『Aねーちゃん』と呼んでいたのに、中学校くらいかな？のときには『A』と呼ぶようになっていたっけ。あの時はちょっと不思議だなとしか思ってなかったような気がするけど、今ならなんとなく、ああ暉も思春期に入ったからだったんだな、なんて想像がついた。
そんな思春期ともなれば年頃の男女は離れて遊ぶことが多いんだろうと思うけど、暉は誰にでもフレンドリーであけっぴろげな性格だし、わたしも暉と一緒にいると楽しかったから、通っていた高校は違えど放課後や休みの日になればあちこち遊びに行ったものだった。
例えばこの海水浴場だって、その一つ。
自転車を全速力でこいでやってきた広いこの海で、サーファーを眺めたり、泳いだり、お小遣いでソフトクリームを食べたり。ソフトクリームはわたしも暉も色んな味に迷ってしまうから、二人で違う味を頼んで半分こして食べるのが定番だった。

「暉、久しぶりに海行かない？」
「海？いいけど、泳ぐの？」
「ううん。東京の部屋、ちょっと殺風景だから。貝殻でも集めて飾ろうかなって思って」
「お、いいじゃん。じゃー今から行こうぜっ」
「うん」

携帯でそんなやり取りをして、自転車で迎えに来た暉と連れだって、わたしたちは久しぶりにこの海へとやってきたのだった。

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