雨と音色 (ページ8)

今日:22 hit、昨日:1 hit、合計:31,290 hit

7話ページ8

信五side

｢それでな、すばる。もし、すばるさえ良ければここで一緒に暮らさへんか？｣

す｢え…｣

｢住む家もお金もないやろうし、俺も子供らもすばると一緒に暮らしたいなって思ってる。まだすばるの親や施設の人にも聞いて、了承得なあかんし、ちゃんと決まった訳やないけど、すばるの気持ちを聞きたいねん｣

す｢ええの？…俺なんかがこの家に住んでも｣

｢ええよ。大歓迎やで、な？｣

亮｢うん！すばるくん来てくれたら嬉しい｣

忠｢大歓迎やで？｣

す｢…ありがとう…っ。嬉しい…｣

ここに来て初めて泣いた。

泣いたり、笑ったり

もっと俺らにいろんな顔を見せてくれや。

それからは早かった。

すぐに施設の人に連絡して

すばるの親にも連絡をつけてもらった。

最初は渋ったみたいやけど
施設の人の説得と、これまでのことを話すと
納得したらしい。

戸籍はそのままやけど苗字も村上にかえて
本当の息子のように育てることを約束して
すばるをうちの子として迎え入れた。

す｢改めて…今日から宜しくお願いします｣

侯｢宜しくな、すばる｣

亮｢宜しく！…すばる｣

忠｢弟できたー！めっちゃ嬉しい｣

章｢宜しくね～｣

隆｢宜しく｣

｢すばる、気を遣うことはないからな。何でも言うたらええ。足らへんもんとか欲しいものは買うたるし、学校も忠義と同じとこに行き｣

今、すばるは高校も途中で行かへんなったから
単位も危ういところで

せやから、忠義が通ってる家から近い高校に転向することを提案した。

幸いにも高校の理事長と俺は親戚で
言えば多少のことはしてもらえる。

す｢ええの？｣

｢ええねん。お前は俺の息子なんやから｣

す｢…ｸﾞｽｯ…おとん…っ｣

｢すばる｣

高校1年にしては小柄なすばるの身体を

ぎゅっと抱きしめた。

す｢ありがと…っ｣