【9k】君が卒業したとしても (ページ8)

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呼ばれる_hys ページ8

「ねえ、Aちゃん」

「どうしたの？」

私がキッチンで洗い物を片付けていると、林くんに話しかけられた。振り返ってみると、彼は壁に手をついていて……。

「えっ」……今、私は林くんに壁ドンされている？突然の出来事に頭が追いつかない。林くんは真剣そうな顔でこちらを見つめていて……その瞳に吸い込まれてしまいそうだと思った。

しばらく見つめ合っていると、ふっと林くんが表情を和らげた。そして、私の頭をぽんと撫でてから言った。

「なんでもない。呼んでみただけだよ」

「そっか……」

「もうすぐ終わる？手伝おうか？」「ううん、大丈夫。ありがとう」

そう答えた後、私は林くんの背中に飛びついた。林くんの驚いた声が聞こえる。「Aちゃん！？」「ふふ」

林くんが笑みをこぼすと、ぎゅうと抱きついてきた。「林くん？」

「……もう少しこのままでもいい？」

「いいよ」

林くんの体温を感じながら、しばらくそのままでいることにした。眠いながらもソファに運ばれている感触がする。

「Aちゃん、起きて」

「んぅ……？」

優しく揺り起こされて、ゆっくりと目を開ける。すると、目の前に林くんの顔があって……。思わず叫びそうになったけれど、なんとか堪えた。