◆*203*◆ ページ3
「…小学校んときにさ」
2人の声は、どこまでもいつまでも静かなままだ
憤りは、悲しみは、どこに隠されているのだろう
「神社で花火してたら、横山のパンツにコオロギ入ったじゃん、覚えてる？」
懐かしむように話す大野の言葉は、ひとつひとつ大切に大切に選び出されてるように
出来るだけ、柔らかく聞こえるように。
「横山、泣きべそかきながらそのコオロギ焼こうとしてたもんな・笑」
………うるせえ。
コオロギがパンツに入るんだぜ？
気持ち悪いを越して殺意だろ？普通。
「あれは思い出しただけで笑えるわ」
「横山、面白かったよなあ」
…ってなんで過去形なんだよ
思わず茂みから飛びかかりそうになるけど、抑えて
櫻井の、次の言葉に耳を澄ます
「……俺らってさ」
俺らってさ。
ああ。そうか。
そうなのか。
思わず、涙が出そうになる。
俺らってさ。のあとに続く言葉を。
俺は知りたくなかったし、
これからもずっと分かりたくもなかったな、とも思う
だってさ、次の言葉が分かっちゃうくらい、俺、こいつらずっと一緒にいるんだぜ
・
「もう、元には戻れねえのかな」
・
俺は、この腐れ縁の友情は一生もんだって
信じたかった。
馬鹿して笑いあったあの頃の思い出は
櫻井の中で、どう、残ってた？
どれほどの、大きさだった？
一つの足音が、遠ざかる
一つになった影
残された人は、見なくてもわかる
「……大野」
きっと、これからもずっと、この男は1人、過去に取り残され続けたまま
「悪いな、横山の友達、1人減ったわ」
「…不器用すぎんだよ、お前」
悲しみも、怒りも、自分の望みが誰にも見えないように
仮面の下で涙を流すんだ
「俺ん中の翔ちゃんは、もう、あの頃とは違くなってる」
翔ちゃん
懐かしい響きに、また涙が出そうになった。
「ずっと一緒にいた親友の翔ちゃん、よりも
愛する女を奪って傷つけた男、の方が、俺ん中で大っきくなってた」
なあ、櫻井
お前が一度も大野のことを名前で呼ばなかったのは
「…櫻井も、きっとそのことに気づいてたよ」
はじめっから、終わりにするつもりだったから？
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kei(プロフ) - このお話を見つけて、智担の私は金髪智にメロメロ(/o＼)でも、波瀾万丈で号泣しながら読んじゃいました〜。途中何度も翔さんに堕ちそうになりながら、夢中になっちゃいました！新作の翔さんも読ませていただこうと思ってます！ステキなお話ありがとうございました。 (2016年10月30日 8時) (
レス) id: 6133f4f2c1 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - お疲れ様でした！ボロボロ泣きながら読んでいたお話が終わって寂しい気もします（ ; ; ）次回作も楽しみにしてます！ (2016年7月19日 16時) (レス) id: ef2aed9edb (このIDを非表示/違反報告)
知日(ともび)(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ずっと読んでいて…切なくて淡くて、決して綺麗事で終わらないリアルな内容が大好きでした！ほんとにお疲れ様でしたヽ(；▽；)ノ (2016年7月17日 23時) (レス) id: 2df8e76a2f (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 完結お疲れ様でした！正直毎日の楽しみである更新が終わってしまうのは物凄く寂しいです（ ; ; ）次の作品も楽しみに待っていますね！ (2016年7月17日 23時) (レス) id: 36aa3d5671 (このIDを非表示/違反報告)
さりっくま(プロフ) - この作品最初からずっと読んでいました。感動の涙が止まりませんでした(T_T)素敵な作品をありがとうございした！次回作も楽しみにしています。 (2016年7月17日 23時) (レス) id: 2fb22e76db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろーばー
| 作成日時：2016年6月9日 20時
