Time Stranger(第１章) (ページ4)

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「いらっしゃーい！ここが！オレたちの宿だよ！！」

扉を開けて見えてきた宿屋の内装は
想像通りこじんまりとした居心地の良さそうな雰囲気だった

「素敵な場所ですね」

とりあえずベッドがあるだけでも今の和也には天国だ

「でしょ？オレと、もう1人でケイエーしてんの！」

誇らしげに言った男が奥の方へ大声を張り上げる

「ジューン！ジューン！！」

「うるっせぇ！！なんだよ！…って、お客さん？」

奥から出てきたのはこれまた整った、濃い顔立ちの男だった

「ようこそ私たちの宿へ。私は主人のジュンです」

ジュンと名乗った男は恭しく頭を下げる

「あ、オレの名前マサキ！よろしくねー！」

随分個人対応のしっかりした店だ

「今夜はお泊まりで？」

「あ…えっと」

カズナリがちらりとサトシを見やると何度か顔を縦に振った

「はい」

「そうですか！それはよかった！！」

ニコニコ、ニコニコと嬉しそうにジュンが笑う

「1番いい部屋用意するね！」

「え、いや、でも…！」

いーからいーから！とマサキがカズナリの背中を叩く

別に遠慮とかじゃなくてお財布の心配してるだけなんだけどな…

「いいですよ。宿代はいただきません」

カズナリの心を読んだかのようにジュンがそういった

宿代はいただきません、つまりタダでいい部屋に泊めてくれると？

「…なんで？」

それまで黙っていたサトシが不意に口を開く

「なんでそんなにしてくれるの？ジュンくん、妖しい匂いがする…」

ジュンは少し驚いたような顔をしたが、すぐに表情を緩めた

「お恥ずかしい話なんですがね、この宿屋…もう潰れるんですよ」