【GIANTS】短編集6

☆フェイント［丸佳浩］ ページ23

今日は佳浩の家にお泊まり









すっきりした部屋の眺めは几帳面な佳浩らしい









「ビール持ってくるね」









二人とも少し早めのお風呂を済ませたからもうのんびりしようと









ここへ来る途中で帰ったビールをとってきて









木製のローテーブルの上にビニール袋ごと置く









「はい」









丸「ありがとう」









そのまま佳浩の正面に座ろうとしたところで









丸「そっち？」









しゃがみかけた私へ寂しそうな目を向ける









「え、うん。いつもそうじゃん」









丸「ダメ、今日こっち」









こっちと言って佳浩が叩くのは自分の隣









狭くなっちゃうでしょ









「いいよこっちで」









丸「ねーやだ」









明らかに不機嫌な顔をした佳浩に負けてしぶしぶ隣へ座る









ガサガサと袋を漁った佳浩は私の好きなメーカーのを取ってくれる









丸「これでいい？」









「ん、ありがと」









差し出された缶ビールを受け取ろうと手を伸ばすと









佳浩は何故かビールを机に置いて空いた手を私の手に絡ませる









フェイントかけられた…笑









丸「へへ笑」









「へへじゃないから、ビール飲めないじゃん」









俗に言う恋人繋ぎというもので









そこからほのかに感じる体温はやはりどこか落ち着く気持ちにさせてくれて









丸「手繋ぎたかったから」









「飲んでないのに酔ってるの？」









丸「酔ってないよ」









その後も緩めてくれない手を無理やり解いて









今度こそビールを手にする









広くも狭くもない部屋にプシュという音が2つ響く









「かんぱい」









丸「かんぱい」









喉に流れる冷たい感触









それにしても今日の佳浩本当に変なの









そう思ってちらりと目線を向けると









私より先にこちらを見ていた佳浩と目が合って









丸「ん？なに」









口元を緩めて覗き込まれる









「なんでもなーい」









丸「嘘ばっか、みとれてたんでしょ」









お互いにまたビールを口にする









丸「A」









「ん？」









おつまみに買ってきたお菓子に手を伸ばし聞き返すと









丸「好き、大好き」









「知ってる笑」

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