【GIANTS】短編集5

名前［石川慎吾］ ページ46

試合後に室内練習場から音がして覗いてみると









「慎吾さん？」









石「お、Aどしたん？」









慎吾さんはバットを手に振り返る









「ん、音がしたから来てみた」









入り口付近に転がっていたボールを拾いコンテナへ入れていく









試合後も練習するなんて頑張り屋さんだ









少しでも手伝えたら









するとしゃがんでいる私に近づいてきた慎吾さん









バットのグリップエンドに顎を乗せる









石「なぁなぁ」









「なに？」









何か言い出しずらいことなのか少し目が泳ぐ









どうしたんだろ









石「そろそろ呼び捨てしてくれへんかなって」









いつもお願いされる呼び捨て









慣れないことをするのは何だか気恥ずかしくて









未だに出来ていなかった









石「せっかく付き合えたんやから証やないけど呼び捨てがええ」









慎吾さんはそう言葉を続ける









あかん？なんて首を傾げてお願いされたら









断れるはずもなく









「…はい」









頷いたのに慎吾さ…慎吾は項垂れたまま私を見てくれない









「どうしたの？」









石「ほんまのこと言うてええ？」









そういった慎吾は腕で顔を隠し気味に









石「Aは選手のこと、慎吾さん、勇人さん、誠司さんって呼ぶやん









せやから俺が彼氏やって特別感感じたかっただけなんや笑」









なんて可愛い生きものなんだ









むしろそんな風に思ってくれていたのが嬉しすぎて









ふふと笑い声が漏れると









石「恥ずいやろこんな独占欲」









バツの悪そうな顔をする









「慎吾大好き」









初めて呼び捨てしてみたら









はっとして顔を上げる









石「やっぱええな呼び捨て笑」

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