【GIANTS】短編集

始まり［坂本勇人］ ページ16

坂本side

「合計465円になります。」

初めてあったのは球場からの帰り
気分転換にいつもと違うコンビニに寄った時

そこですごいかわいい子がおって
はっきり言って一目惚れ

高校以来まともな恋愛はしてない

自分で言うのもアレやけど
女の子には不自由したことがない

それに女の子なんてみんな同じやと思ってた
ほとんどは俺の顔を見ると
『はっ』って顔して手のひらを返したように
媚を売る

でもその子は違くて
俺の顔を見てもずっと営業スマイル
わざと手が触れるように小銭を渡しても
顔を赤くすることなく

「ありがとうございましたー」って

なんやねん 調子狂うやん
あれか、今時の女子は野球知らんてか

その後名前も知らんその子に会いに
何度もそのコンビニに寄った

一人の女の子、それも彼女でもない子に
こんなに執着したのは初めてで
自分でも戸惑った

同時にこれが恋だと気づいた

結構な頻度で通ったから
少しの会話はするようになって

「いらっしゃいませ、最近よくいらしてくれますね」

坂「家から近いんす」

「またご利用ください」

そう言ってふわりと微笑む彼女は魅力的な人やった

名前はAというらしい

プロ野球選手って教えたら
流石にジャイアンツは知っていたようで
二重の目をパチクリして驚いていた

「明日も試合ですか？」

坂「うん、そうやで」

「頑張ってください。」

教えてからもこれまでと変わらず接してくれて本当の俺を見てくれているようで恥ずかしくも嬉しかった

社交辞令のような応援の言葉も素直に嬉しくて

ゾッコンやなぁ

連絡先の交換も緊張して変な汗が出た

人よりも恋愛経験はあると
思っとたんやけど苦笑

それから初めて食事に誘った

6月、これからって時に会ったのに
それはもう11月、肌寒い季節だった

寒いくせに変な露出してる奴と違って
寒さで赤くなった鼻を隠すようなマフラーと

モコモコのセーターを着たAは
雪だるまみたいでほんまに可愛かった

キラキラしたイルミネーションの下

坂「実はな、一目惚れしたん。ずっと好きやった。付き合ってください」

こんなに緊張したんは
日本シリーズぐらいかな笑

Aが言葉を発するまでが妙に長く感じて
ドキドキした

「私が好きでもない人とデートする軽い女に見えますか？」

坂「ふっ、それはYes と捉えていいん？」

「もちろん。私も好きです、坂本さんのこと」

俺は感情の起伏が激しいとよく言われる
迷惑かけると思うけど
俺を選んでくれてありがとう

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