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佐倉「鈴蘭は12月の説明会で、志願者に今年の出題傾向のヒントを出すと明言しているんです。これは追い込みの勉強の際に大きな手掛かりとなります
それだけではありません、鈴蘭女子は第一志望の受験者を優遇する制度があります。そして、佳苗さんと同じ偏差値で合格した生徒は...7人中6人います
このまま鈴蘭女子を第一志望校として、頑張り屋の佳苗さんと走らせていただけませんか？」
山本母「先生...」
山本さんのお母様は納得していただき、無事面談は終了した
山本母「ありがとうございました」
佐倉「失礼いたします」
エレベーターまで見送り頭を下げ、深いため息を一つついて講師室に戻る途中、声を掛けられた
桂「佐倉先生！初一人面談お疲れ様」
佐倉「はぁ...」
桂「大丈夫？」
佐倉「はい...黒木先生がいらっしゃらないんで、私なりに...」
桂「えっ、黒木先生来てるわよ？随分前に」
佐倉「えっ、そうなんですか？」
桂「うん、ほら」
桂先生に体を回転させられて講師室を覗くと、確かにいつもの席に黒木先生の姿があった
え、いるなら助けてよ...
side 島津
塾に通わない日々が続いているものの、勉強はしておこうと食卓に開成の参考書を用意した時、ママが帰ってきた
島津母「ただいま」
祖母「おかえり！どうだった？パートの面接」
島津母「うん、雇ってもらえそう」
祖母「よかったね！」
おばあちゃんが嬉しそうにそう言って僕の肩を叩くも、ママは深刻な顔で僕に言った
島津母「順」
島津「何？」
島津母「ちょっといいかな？」
隣の部屋に移動してママの話を聞いた
島津母「しばらくは...このままおばあちゃん家にいるけど、私たちはパパと離れて2人で暮らすつもりなの」
島津「うん...」
島津母「パパと離れるっていうことは収入もなくなるっていうことだし、開成はパパが決めた学校だし...
受験をどうするのか、志望校をどうするのかもう一度考え直さないといけないと思うの...
受験を辞めてもいいって、ママは思ってる」
その選択がまた僕を悩ませた
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作者名：愛音
| 作成日時：2021年12月7日 10時
