戦い ページ8
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若月さんが落ち着いた後のスタッフステーション
静まり返る空間で深澤さんは私に言った。
「俺はまだまだポンコツの救命医だから...患者が自分で決めたことを尊重したいと思ってる
それに俺は脳外科医じゃないからAの病状について詳細を把握してないし、無責任に治療を勧めることもできない
でも今までずっと一緒に戦ってきた同期には...大切な恋人にはすぐに治療を受けてもらいたい
Aは...自分はもう治らないって言ったけど...本当にそうかな...何か方法があるんじゃないかな...
俺たちがそれを探す...かっこよく人生を全うするな！
どんな無様でもいいから何としてでも生きることにしがみついてほしいんだ...」
深澤さんの言葉を聞いてずっと我慢していた涙が零れた。
『...脳腫瘍ステージ�検�現時点で肺に転移していて今後、骨やリンパにも転移が予想されます。
腫瘍が広範囲に広がっているため手術では取り切れない...抗がん剤治療しかありません。
他の治療方法は私も探します。私は...まだまだここでみんなとたくさん学びたいです』
「...それでこそ岡本Aだろ」
成瀬さんは私の肩を叩いてそう言った。
「全力で治療法探すから！」
美月さんは涙で顔がグチャグチャだった
「アンタにはこれからも私のライバルでいてもらわないと困るの！」
強がっていたけど幸保もいつもの完璧メイクが崩れるくらいには泣いていた。
「Aちゃんはずっと俺の憧れだった。これからも憧れでいてくれないと、俺も困るんだよね！」
涙を流しながらも桜庭くんはいつもの笑顔でそう言った。
「諦めるなんてぜってぇ許さねぇから」
深澤さんは涙を堪えながらそう言った。
「しっかり治療してまた戻って来い。岡本Aの居場所はここだ」
『...はい！』
翌日から長期休みを貰い、いよいよ抗がん剤治療が始まった。
ここからが長い長い戦いだ
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作者名：愛音
| 作成日時：2021年10月14日 21時
