検索窓
今日:3 hit、昨日:13 hit、合計:36,953 hit

ー最終話ー ページ1

.

side 朝倉




吐血して倒れたAを目の前に冷静さを失いながらも急いで駆け寄り、彼女に声を掛けた。




「A!?A!」




近くにいた看護師と協力してストレッチャーに乗せ初療室に走った。




「えっ...A...?」




「A、ちゃん...?」




運ばれてきたAを見て深澤と桜庭は言葉を失っていた。




「朝倉、何があったの?」




「わからない...直前まで笑ってたのに急に吐血して倒れた、外傷は見られないけど脈が触れにくい...」




「桜庭、本郷先生呼んで来い。移すぞ、1、2、3!」




「フェニレフリン1筒準備して、誰か心電図と採血お願い!あとラインも!」




指示を出しながら私はAの瞳孔の確認を行い、何度も声を掛け続けた。




「A、分かる?」




しばらく意識を失っていたAがゆっくり目を開いた。




「A?どこだかわかる?」




『倒れて...運ばれたんですね...


もう大丈夫です、忙しいのにご迷惑おかけしました...』




そう言って彼女は起き上がろうとした。




「まだ安静にしてろ」




「A...血を吐いて倒れたの、体調の変化とか何か心当たりない?」




『大丈夫です...問診必要ですよね、自分で書きます』




吐血したとは思えないほどケロッとしているAは先輩から問診票を受け取って自力で記入していた。




‶大丈夫″と何度も口にしていたけれど一応検査は受けてもらった。




side 深澤




始業前の医局で漫画を読んでいると勢いよくドアが開いた。




『おはようございまーす!』




昨日吐血して運ばれてきたのが嘘かのようにAは出勤してきた




「え!?大丈夫なのかよ!?」




「検査の結果は!?」




『あ、全然問題ないです。暴食による逆流性食道炎でした


すぐに治りますし大丈夫です、お騒がせしました』




そう言っていつもの笑顔を見せた。




その一言に俺たちはひとまず安心した。




「何だぁ...よかった、心配して損したよ」




「でも油断は禁物よ?安静にしてた方がいいんじゃない?」




『大丈夫だって、みんなに置いて行かれるわけにはいかないからね!


さっ、働くぞ!』




更衣室でスクラブに着替えて出てきたAは俺たちの知る、いつもの岡本Aだった。

嘘→



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (68 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
655人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:愛音 | 作成日時:2021年10月14日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。