救えた... ページ37
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side 桜庭
看護師二人の手を借りて土居さんの心嚢開窓の処置を始めた
「ペアン」
「はい」
「メス」
メスで切開すると溜まっていた血液が一気に押し寄せてきた
「バルーンカテーテルください」
「はい」
ピンセットでカテーテルを挿入してようやく血液を採取することが出来た
「よし...生食3�嫺�れてください」
「はい」
新村くんに生食を入れてもらいながら心電計のモニターを確認する
「血圧上昇してます！すごい...」
「固定して造影CT撮ろう、3-0シルク準備して」
「はい」
土居さんを救えた...
俺一人でも処置出来た
もうみんなとバラバラになっても大丈夫
そんな気がした。
side 深澤
ボーンソーを患部に当て、しばらくした頃ガタンと大きな音と共に大きな衝撃が体に走った
「切断完了、救助してください」
レスキュー隊にそう伝え救助された鳥山さんをストレッチャーに乗せ、ジャクソンリースを装着した。
救急車に移動するまでの間、心配そうに彼に声を掛ける作業員
作業員の足立さんが同乗して病院に戻る途中、彼が言った
「先生...生きてさえいれば、またコイツと一緒に働けますよね？」
「えっ？」
「コイツいつも言ってたんですよ...
ごみ処理場の仕事は人が生きていく上で絶対に必要な仕事のはずなのに、汚いとか、臭いとか、誰もがやりたがらない仕事で...
でもいつか...いつかそんな状況を変えてやる、って...これ見てください
昔は近寄りがたかったごみ処理場の現場が、今は観光スポットになって多くの人で賑わう場所に変わったとこだってあるんです」
彼が見せてくれたスマホの写真はとてもごみ処理場だとは思えないほど、綺麗でおしゃれな建物だった
「俺たちが働く職場もいつかこんな風に誰かに憧れを持たれる場所にしたい、って...鳥山いつも言ってて...」
「...生きてさえいれば、きっと叶えられます
それに鳥山さんには...あなたのような仲間がたくさんいるじゃないですか」
「はい...そうですね...」
俺たちナイト・ドクターの仕事と彼らの仕事が重なって見えた
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作者名：愛音
| 作成日時：2021年10月2日 19時
