Night Doctor ナイト・ドクター【6】 (ページ4)

今日:6 hit、昨日:38 hit、合計:46,403 hit

絶望ページ4

.

また心電計が嫌な音を立てた

「VFか...開胸心マだ」

『はい！』

「深澤、除細動パドル」

「はい」

「アドレナリン投与します」

「ドレーンください」

「岡本、ストーンハートになってないか？」

『心臓張ってます！』

「20ジュールで、入ります」

「セット」

「チャージします、離れてください。除細動します」

深澤さんがショックを終えるとすぐに心マを再開した

『お願い...戻って...』

「リズムチェックです」

心臓から手を離し、モニターをチェックするも波形の変化はなかった。

「VF継続してます、アミオダロン準備します」

「もう一度除細動」

「はい、入ります。チャージします、離れてください。除細動」

またすぐに心マを再開した

「生田さんのお母さん、到着までまだ1時間以上かかるそうです...」

「1時間...？」

『戻って...』

手の感覚が無くなるまで心マを続けた

「成瀬...もういい」

「...はい」

周りで何を言っているのか耳に入ってこないほど心マを続けた

「こっちの縫合は済んだ」

成瀬さんの声は聞こえているものの心マを続ける手は止まらなかった。

「リズムチェックです」

僅かな希望を胸にモニターに目をやるも、心マが止まれば心拍は急降下しすぐに‶0″を示す

「心停止後、30分経過しました...」

幸保の言葉が何を示しているのかも十分理解している

それでも私は心マを続けた

「岡本もう止めろ、可能性はない」

本郷さんの言葉も無視して心マを続けた

「止めろ、と言ってるんだ」

怒号に近い声が聞こえようやく私の手は止まった

「21時52分、死亡を確認しました」

成瀬さんが瞳孔確認をしてそう言い、みんなが黙祷を捧げた

「ご家族が来る前に綺麗に縫合しておけ」

また私には何も出来なかった

その現実が悔しくて仕方がなかった。