訴訟...？ ページ22
.
side A
引継ぎの時間、嘉島先生はまた私たち夜勤医師に文句を言ってきた。
「以上の通り、あなたたちが受け入れた重症患者のせいで我々は疲労困憊だ」
...それは年じゃないの？さっさと引退しなよ
「全く、何のために夜君たちを雇っている、」
「大変お疲れ様でした、早くお帰りください」
嘉島先生の愚痴を遮るように本郷さんが話をぶった切り、私たちは業務に取り掛かろうとした時だった。
「ああそうだ、成瀬先生聞きましたよ？患者の家族に訴えられてるそうですね？」
「「...え？」」
「どういうこと？」
『成瀬さん...？』
訴えられてる...？もしかして、秋山さん...？
美月さんだけはそのことを知っていたのか、何も言わなかった。
「どうりで夜なんかに働いてるはずですよね。普通の病院じゃなかなか雇ってもらえませんもんね？」
目を泳がせる成瀬さんに根岸先生がそう言った。
「どうして皆さんがそのことをご存じで？」
「秋山さんという女性が訪ねてきましてね。うちの息子をあんな状態にして、あの先生は再就職ですかって嘆いてたよ
未だにその息子さんは歩けないそうだ。
我々も成瀬先生みたいに訴えられては困る、今一度インフォームドコンセントを徹底するように。わかったな？」
「「はい」」
待ってよ...成瀬さんはインフォームドコンセントを怠ってないし！
まだ成瀬さんに対するマウントが止まらないのか、嘉島先生は発言を続けた。
「あーっとそれから成瀬先生、裁判の結果によっては我々はあなたを守ることが出来ませんからね。
うちの救命まで変な風評被害が出たら溜まったもんじゃない」
『別にあなたたちのような無能な医者に守っていただかなくても結構です！』
「お、おい岡本...」
『だって！』
深澤さんもみんなも悔しくないの...？
「いい。岡本、いちいち突っかかるな」
成瀬さんはそう言うとスタッフステーションを後にした。
私たちに出来ることは何かないのかな...
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 497人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：愛音
| 作成日時：2021年8月12日 23時
