Night Doctor ナイト・ドクター【3】 (ページ15)

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何で... ページ15

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side 朝倉

ホットラインが鳴って高岡と患者を受けに行った。

「森本有紗さん、20代女性。キャバクラ店内で急に意識を失って転倒しました

グラスで左の上腕を切り圧迫止血してます」

「代わります」

患者を処置室に運んですぐに処置を始めた。

「ちょっとチクっとしますよ？...鑷子ください」

いつもならすんなり出来る処置も先輩の例の件が気になって手元が上手く動かなかった。

「先生？」

「傷口が深くて動脈が掴めない...」

損傷部からは鼓動に合わせて血液が噴き出していた。

処置に困っていると鑷子が奪われた。

「モスキート」

声の主は今私を悩ませている先輩だった。

「3-0バイクリル」

「さすが成瀬先生...的確で早い」

...気持ちを切り替えて次は冷静に処置に当たろう

スタッフステーションに戻るとまたホットラインが鳴り響いた。

「私が出ます。...はい、あさひ海浜病院救命救急センターです」

「笠松消防です。50代男性、帰宅途中に階段から足を踏み外し転落。

頭部外傷があり意識レベルJCS30です」

「受け入れろ」

「受け入れます！」

受話器を戻して患者を受けに行こうとした時だった

「自分が診ます」

私より先に、また先輩がスタッフステーションを後にした。

何で...何で今日は突っかかってくるの...

それは次に運ばれてきた患者の処置をしている時も続いた。

「まずいよ、早く挿入しないと！」

「わかってるけど...」

「どけ」

また先輩は私から患者を奪い処置を始めた

「ドレーン」

「え...？」

「ドレーン！」

「あ...はい」

先輩の態度に私の怒りは頂点に達した。