人手不足 ページ1
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side A
高岡さんが帰ってしまっても私たちはいつも通り仕事をするしかなかった。
電子カルテを見ながらスタッフステーションに戻る途中、美月さんが不安そうに私と深澤さんに尋ねた
「ねぇ、あたしさっきさ結構高岡にひどいこと言ってたよね...？」
「「言ってたねぇ/言ってましたね」」
「きっと突かれたくないとこグサグサ刺してたよね？」
「「うん、刺してたね/刺してましたね」」
「はぁ...やっちゃったな...」
『ラウンド終わりました』
スタッフステーションに戻ると美月さんはとんでもないことを口にした。
「ねぇ、何で二人とも止めてくんないわけ？」
『え、止めたじゃないですか！』
美月さん、記憶喪失？
何て思っていると本日一回目のホットラインが鳴り、成瀬さんが受話器を手にした。
「はい、あさひ海浜病院救命救急センターです」
「八坂消防です。清掃作業中に薬剤が混合したガス事故による塩素ガス中毒の疑い、3名の収容依頼です。
40代男性、目・鼻の痛みと頻脈。50代男性、頻呼吸でSpO2 80%台。30代男性、四肢の震えと不整脈を認めます」
「全員受け入れろ」
「でも桜庭が休みで高岡も帰っちゃって人手が...」
「お前たちが蒔いた種だ、お前たちでカバーしろ」
私たちが蒔いた種ではないと思うんだけどな...
でもまぁやるしかないよね...
「やります」
「受け入れます」
成瀬さんが受け入れの返事をしてすぐに3人の患者が運ばれてきた。
「川嶋さん、すぐに処置しますからね」
「病院着きましたよ、深呼吸してくださいね」
『大丈夫ですか？病院着きましたよ』
流石に高岡さんと桜庭くん、二人もいないのはキツイな...
そう思っているのは私だけではないみたいで
「高岡...マジ勘弁してくれよ...」
深澤さんも本音が漏れていた
『深澤さん！手伝ってくださいよ！』
「わかってるよ！」
高岡さんと花園さん、どうにかしないとな...
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作者名：愛音
| 作成日時：2021年8月12日 23時
